タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/01/01
アオハル?


「あけましておめでとう!」

 からんころんと下駄が鳴る音がするたびに公園のベンチから立ち上がってそわそわと道路を眺めるおれはさぞ滑稽だったことだろう。だけどそのおかげでレディの素敵な笑顔を一秒でも長く目に焼き付けられたんだから忙しなくベンチから立ち上がったり座ったりをした甲斐があったもんだと新年早々胸がぽかぽかする。

「あけましておめでとう、すげェかわいい、きれいだ、似合ってる、かわい」
「まってまってまって」

 飼い主にじゃれつく犬のようにレディのまわりをくるくる回って上から下から豪勢な和服を着ているレディを見て自然と口をついて出てしまう音。それを唐突に止められて、きゅ、と慌てて口を閉じたけど新年早々鬱陶しがられたんだろうかとしょんぼり眉が垂れたのを実感する。でも可愛いな、と心の中で賛美を唱え続けてレディの顔を伺えばくすぐったそうにくすくす笑ってて「かわいい」「だから待ってって言ってるでしょー! もー!」「かわいい」止められなかった。
 気恥ずかしいのか頬を染めて照れる姿はもはや神々しくてこんな素敵なレディがおれと初詣をしてくれる事実に何をどう感謝すればいいのかわからなくて崩れ落ちてしまいそう。

「もう! 私にもサンジくんのこと褒めさせて!」
「えっ」
「今日もサンジくんはかっこいいね」
「えっ」
「その服初めて見た、新しいの?」
「えっあっうん」
「似合ってる、かっこいい」
「へ」

 レディの口から出てくる褒め言葉に狼狽えている間にからころと下駄を鳴らしてレディの愛らしい顔がどんどん近付いてきて息を呑む。

「だいすき」
「ゔっ」

 息を詰めた瞬間、胸に飛び込んできたこの世で一番可愛い生き物に新年早々心臓が止まりそうになって呻きながらも本能のままに、けれど着物を崩さぬようにそっと腕をレディに回しておれからも抱きしめ返す。

「んふふ、初ぎゅーだね」
「かわいすぎるおれも好きどうしようこんな可愛い生き物おれ以外に見せたくねェ」

 おれも好き、とスマートにそれだけ伝えればよかったのに、あまりの可愛さに脳がやられたのか止めどなく口から溢れる想いにレディはただただ笑ってくれた。