タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/07/10


 あれ、私ってこんな可愛かったっけ。首を傾げてじっと目の前の私を見つめる。私だけれど純然たる私ではない。私の中にローが入っている。私はローの中。私のつむじが見えるくらいローの高い視界で私を見下ろす。見上げるロー(私の体)はクマこそこさえていないけれどいつもローがしている仏頂面で、とても可愛い表情をしているとはお世辞でも言えない。だけれども、なんだか、かわいい? ぱち、とロー(私の体)が瞬きをするたびにちらちらとまつ毛が揺れて、覗く瞳は濡れたようにきらきらと輝いている。今日はそこまでチークを重ねていないはずなのに頬がいつも以上にほんのりと赤く染まっていて、唇に塗っているものもいつも通りのリップのはずなのにどこかで新しく買ったものだったっけと思うほど見慣れないくらいきらきらうるうると輝いていて首を傾げる。

「私って可愛いんだね」

 他人の目から見るとこんなふうに見えるんだ。思わず感嘆のため息をついてこぼした言葉に後悔した。ローに何を言ってるんだと馬鹿にされるかもしれない。でもローの不貞腐れた表情でも可愛く見えるんだから、今度からもっと自信を持とうと頷いて後悔は蹴飛ばした。私の顔がローによってどんどん険しい表情になる。それでも可愛い。

「睨まれてもすごい可愛い。鏡で見る時と全然違う。なんでだろ?」

 今朝だってもちろん鏡を見てメイクを施したけど、別にいつも通りの出来で特段メイクが上手くいったとかそんな感じは一切なかったのに。不思議だ。人の目と自分の目でこんなに印象が変わるなんて。じっと自分を見下ろして改めて可愛いなと思う。他人からはこんなふうに見えるならこれからはもう少し自分に自信を持とう。うんうん、と気分よく頷いていればきらきら輝く唇がぱっかり開いて、ローからどんな罵倒や呆れ返った言葉が飛んでくるのかと覚悟する。でも可愛いから何言われても凹まなそうだからいいや、なんて浮かれて耳を澄ました。

「そりゃそうだろ。恋する男の目で見てんだから」
「え」

 私の声が乱暴に吐き捨てた言葉に固まる。

「おれにはお前がそういう風に見えてる」

 そういうふう、

「何しても可愛い」

 いつも鏡で見るのとは違って徹頭徹尾仏頂面なくせにきらきら輝く目が、ピンクに火照った頬が、うるうる光る唇が、全てが輝いている私が、私を見上げて息が詰まる。

「……おれも、いつもと違って見える。期待、して良いのか」

 なァ、と潤んだ瞳が私を射止めて身動きができなくなった。