抱えた秘密
「すみません、鮭の切り身を2つください!」
彼と思いを伝えあってから数日、彼女は夕飯の買い物に来ていた。安室はと言えば、今日は「降谷零」の仕事で朝から出向している。
「あいよ!今日の夕飯かい?」
「はい、バターホイル焼きにしようと思って。」
「いいねぇ〜お姉ちゃん可愛いからホタテもおまけだ!」
「わぁ、良いんですか?有難うございます!」
ビニール袋を抱えて、野菜も買ってしまおうと八百屋に向かえば、突然何者かに腕を引かれ裏路地へと連れていかれる。驚いて相手を見れば、それはとてもよく知る顔だった。
「し、新一…じゃなくてコナンくん…。」
「小鳥!?大丈夫か?どこも怪我とか…!」
「へ?待って、何、どうしたの?」
自分を問い詰めてくる幼馴染に、小鳥は困惑した表情を見せる。どうやらコナンはかなり焦っているようだった。
「バーボンだよ!あの安室透ってやつがバーボンだったんだ!」
「…知ってるけど。」
「はぁ!?」
しまった、と言うように口を塞ぐがもう遅い。コナンはとても小学生とは思えない形相で彼女を睨みつける。どうにか逃げようと思考を巡らせていれば、裏路地に靴音が響いた。
「僕がバーボンでどうしたって…?」
びくり、と肩が震えたのはコナンだけではない。いつもの彼が持つ雰囲気とはあまりにも違うそれに、小鳥も気圧された。
「どこまで知りました?場合によっては…」
「ま、安室さん待って…!」
「…なーんてね。コナンくん、学校さぼっちゃ駄目じゃ無いか!」
けろ、と変わった空気に顔を上げればそこにはいつもの「安室透」がいる。一つ違うのは、グレーのスーツ姿である点だ。もしかして、公安に連絡せず買い物に来たのがバレたのだろうか、と小鳥は内心動揺する。
「降谷さんどこですか!降谷警視はいずこーーーー!!」
表通りから風見の叫ぶ声がし、安室は「げ」と声を漏らした。
「降谷警視…?安室さん、バーボンじゃないの?」
「あーーーーもう、風見の奴あとでシメる。知ってる人が増えるのは困るんだけどなぁ…
まあ、君は味方のようだから良いか…。知りたいかい?僕の事。」
しゃがんでコナンに目線を合わせた安室は、にっこりと含みのある笑みを浮かべた。
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