鮭のバターホイル焼き
正体バレなど原作にはない進み方をします。
注意してご覧ください。
「さ、上がってコナンくん。」
先程の魚屋で鮭の切り身とホタテを追加購入して家に戻れば、不自然な笑みを浮かべたままの安室がコナンをリビングに通した。
「お…お邪魔します。」
「はい、どうぞ。小鳥さん、お茶淹れて貰えますか?」
「は、はい!」
安室は椅子に腰かけるとコナンを目の前にし「さて」と呟いた。
「僕も君に聞きたい事があったんだ。人の秘密を知りたいなら…自分の秘密も話すのが定石だろう?江戸川コナン君…。いや、君本当は…コナン君じゃないよね?」
「…はあ、鋭いなぁ安室の兄ちゃんは。そうだよ、僕は…工藤新一、探偵だ。」
それから二人は、お互いについて話し始めた。
「身体を幼児化させる薬ねぇ…僕の耳にはそんな話入ってないけど…ベルモットやジンが知ってるって事はもっと上の人間じゃないと仕入れられないって事かな。」
「じゃあ、今でもその薬が使われてるかどうかは分からないのか…。」
小鳥が夕食の下準備を始める中、二人は神妙な面持ちで思考を巡らせた。何人もの潜入捜査官が居るほど膨大な犯罪組織だ、色々な研究もしているだろう。その中で薬の情報を持った人間――それも潜入捜査官を探すのは無謀ともいえるだろう。何しろ研究所はシェリーが脱走した日に燃えてしまったのだから。
「とにかく、安室さんは味方って信じても大丈夫なんだよね?」
「勿論、これが本来の僕だからね。」
「それじゃあ…」
コナンは身を乗り出し、安室の耳元に近づく。小鳥が料理に夢中で気づいていないのを良い事にこっそり耳打ちした。
「小鳥の事も守ってよね。好きなんでしょ?」
「…君は本当に、恐ろしい子だ。」
「もう高校生だからね〜!」
言いつつも高校生らしからぬ顔で笑うコナンに安室は苦笑した。
「さて、じゃあ僕たちも夕食の支度しますか…。」
「あの、降谷さん。ずっと気になってたんですけど…風見さんのことほっといて良いんですか?」
「あ。」
キッチンから顔を出した小鳥は疑問をぶつける。慌てて携帯を取り出せば、着信件数がとんでもない事になっていた。そう言えば仕事を抜け出してきたのだ――…と安室は思い出す。「ちょっと電話をかけてきます」と自室に戻る安室を見送って、小鳥はコンソメスープの味見をした。
「さっき蘭ちゃんから電話あったよ。お邪魔してるみたいでごめんねって。すっかり保護者だね蘭ちゃんは…弟が出来たみたいで嬉しいのかな?」
「弟ねぇ…。元の身体に戻ったらさ、告白するつもりなんだ。」
「お?それはお姉さん初耳デスヨ?」
「誰にも言ってねーからな。それまで蘭が待っててくれるか不安なんだよな。だから一刻も早く元の姿に戻りてーっていうか…。」
ちらり、と横目でコナンを見ると頬が赤くなっていた。こんな調子で告白なんて大丈夫なのだろうか――と思ったのは彼には内緒だ。そのまま他愛無い話などを続けていれば、いい具合に鮭が焼き上げる。皿に盛って飾りつけをしていると、やたらぐったりとした安室が戻って来た。
「すっごい怒られた。」
「…でしょうね…。」
「でも、元はと言えば小鳥が連絡もせずに外出したって張ってた部下から連絡を受けたからで…」
「八つ当たりだ!でも…そのすみません…。」
「分かればいいんですよ、わかれば。ほら、お皿貸してください。」
安室はキッチンに置かれた皿をテーブルに乗せていく。
バターの豊潤な香りがコナンの食欲を刺激し、お腹を鳴らした。
「ふふ、じゃあ新一くん座って。」
三人が椅子に座った所で小鳥は手を合わせる。
「「「いただきます!」」」
まるでどこかの家族のように声が重なった――…。
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