01
目が覚めると、見慣れた白い天井が視界に広がる。
セットした目覚まし時計よりも早く起床した。
視線を右側に移せば、1人分程のスペースが目に入る。

「今日も1人、か……」

仲良くならんだ枕の1つは、誰かを迎え待っているかのように皺ひとつなく綺麗に整ったまま。
ゆっくりと体を起こすと小さいため息が自然と漏れた。
そのため息は、けたたましく鳴り響く目覚まし時計によってかき消される。


学園都市―――学生が人口の8割を占める、総人口230万人の学生の街。
ここに私、蒼南六花は暮らしていた。
今日は5月の中旬の月曜日、憂鬱な休日明けの登校日。
部屋の傍らでは、天気予報士の女子アナウンサーが清々しい笑顔を振りまく姿をテレビが映している。
そんな様子を横目に、朝食のフレンチトーストを頬張った。
自然と眉間に皺が寄る。
目の前に用意したもう一人分の朝食を見ると、優雅に味を楽しむ気持ちにはなれない。

「時刻は7時30分です。続いて……」

テレビのアナウンサーの声を背に本日2度目のため息をつくと、私はトーストとサラダにラップをかけた。