やさしいひと




「警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係、警部補佐藤美和子です」
「同じく、巡査部長の高木渉です」


ほ、本物だ・・・・・。



事情聴取をされると聞いたとき、もしかしたら佐藤刑事や高木刑事、千葉刑事に会えるのではないかと思っていたんだけれど(ハンマー男の事件を担当していた記憶があったので)ビンゴだったようで内心とても喜ぶ。千葉刑事はいないけど。
佐藤刑事、めちゃめちゃ美人・・・。高木刑事も普通にカッコイイ・・・。お似合い・・・ここにハイパーお似合いカップルがいる・・・。

感動を一生懸命抑え込みぺこりとお辞儀をするわたしに佐藤刑事はにこりと微笑んだ。


「安室透さんと中村菜々子さんですね。本日はお忙しい中来てくださりありがとうございます」
「あっいえいえこちらこそ・・・」
「それではどうぞよろしくお願いいたします」


そして佐藤刑事と高木刑事と、事情聴取用のお部屋に向かう。通された先でわたしと安室さんは奥の椅子に腰掛け、わたしの前に佐藤刑事・安室さんの前に高木刑事というふうに座られた。


「お怪我などは大丈夫ですか?怖い思いをされたでしょう」
「あ、いえ、たまたま通りかかった安室さんが助けてくださったので」

目の前に座る佐藤刑事に受け答えをしているとドギマギとしてくる。そんなに広くない室内に、わたしと安室さんと佐藤刑事と高木刑事。高木刑事はパソコンで文書を作成する担当なのだろう。女性の方が話しやすいしありがたいのはありがたい。
しかし、なんというか、この狭い部屋で慣れ親しんだ憧れのキャラクターたちとわたし・・・そう考えるとまるで超有名芸能人に囲まれたような気持ちになってしまった。感覚的にはビートた◯しと明石家さ◯まと松◯人志と小部屋に入れられているようなものだ。いやそれは違うか。さすがに事情聴取とそんな年末にでも起こり得ないようなスペシャル共演をいっしょにするのは違うか。でも次元が違うと思っていた人物たちとこうやって同じ空気吸ってる方がすごいよね???


そんなことを考えていたら隣で黙っていた安室さんが少し不機嫌そうに口を開く。



「お二人はあのハンマー男・・・正しくは女性ですが、の担当刑事さんですか?」
「ええ、そうです」
「彼女で4人目の被害者ですよ。もう少し早く捕まえることはできなかったんですかね」


あまりに冷たい物言いにわたしは少し驚いて安室さんのほうを見る。え、めっちゃ怒ってる。めっちゃ怒ってるよこの人。はっやはり警察庁公安部の人間として、事件を未然に防げなかったことや立て続けに事件が起きてしまっていたことを怒っていらっしゃるのだな・・・!さすが・・・さすがそれでこそ安室透・・・。あと顔がいい・・・怒っていても顔がいい・・・。



「安室さんのおっしゃる通りです。本当に怖い思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」
「あっ、や、」


深々と二人に頭を下げられて口ごもる。いえいえ、そんな、お二人が全力でお仕事をされているのは存じているというか、そもそもこの犯罪都市で刑事さんをやられてる時点でもう尊敬しかないというか、なんというか、なんというか・・・!いろいろと言いたいことはあるのだけれどトリップした身として変なことを言ってはいけないというストッパーがかかりわたしは一人おろおろとするのであった。まあでもたしかに、今回たまたまわたしがターゲットに代わり、たまたま安室さんのお陰で無事だっただけで、本来であれば違う女性が被害に遭って殺されてしまっていた。その女性も彼らやわたしと同じように生きていたはずだ。彼女の命が助かったことに感謝する。

そして佐藤刑事や高木刑事は、いつも一人でも多くの命を守るように努めていて、実際守っているんだろう。自分の身の危険も顧みず。そう思うと何もいえなかった。いや、まあわたしがケガ一つなく生きているからこんなふうに思えるのかもしれないけれど。


「わ、わたしも、一人で夜道を歩いていたのがよくなかったので・・・!本当にわたしは大丈夫なので、あの、なんでも聞いてください。再発防止?とかにも役立てば、いいかなと・・・!!」

いやわたしの間抜けな話でそんな役に立つのかと言われると限りなく謎ではあるが、そう言うと佐藤刑事も高木刑事も申し訳なさそうに礼を言ってくださった。ひゃー、ほんと、いつもお仕事お疲れ様です、刑事さんって大変ですよねきっと、功労は讃えられずミスは親の仇のように責められるご職業ですもんね・・・!
そう思いながら一生懸命佐藤刑事に聞かれたことに対して答えていく。まずは簡単に自分の身分について聞かれて(まあ記憶喪失もろもろがあるのでだいぶつっこまれてしまったが)、そこから本題へ。



「では、事件当時あなたはどのような行動を取られていましたか?」

聞かれてわたしは昨夜のことを思い出す。なんというか昨日のことなのにいろいろありすぎてずいぶん昔のことのように思えた。


「はい。えっと、きのうは映画のレイトショーを見ていて遅くなってしまって、夜の・・・11時半くらいだったかな。危ないんですけど一人で夜道を歩いていました」

素直に答えるとなんかものすごい勢いでこっちを向いた安室さんがわたしを凝視してくる。えっなに、やっぱ夜中にこの犯罪都市を一人歩きするのどうかしてた?!犯沢さんの世界でもありえないって扱いだったもんね?!
しかしそれに反応するのもあれかなと思いとりあえず続けた。


「えっと・・・それで、歩いていて。そう、そしたらなんか、跡をつけられてるような気がして。で、ハンマー男の話をふと思い出して・・・わたし髪の毛が長いからちょっと怖くなってきて・・・」

そう言いながら自分の髪の毛をきゅっと掴む。いや、ほんと、まじでまさかこの髪が理由で襲われることになるとは思わなかった。そう、一歩間違えれば、というか、安室さんがいなかったら、わたしは今頃死んでたんだ。本当に。


「早歩き・・・にすると、なんかつけてきてる人の足音も速くなって・・・。そう、犯人って厚底履いてたんですっけ・・・?コツコツ響いて、わかりやすかったです。イヤホンとかもしてなかったから。そう、それで、もしかしたら殺されるんじゃって、思って、」


話していると、あの得体の知れない誰かにつけられているじっとりとした恐怖感を思い出して少し身震いする。
そうだ、あのときわたしはたしかに殺されると思った。そして・・・殺されれば元の世界に戻れるのではとも、思って。



「足を、止めて。振り返ってしまって・・・」



普通は逃げる場面だろう。普通なら、足を止めたりなんてしない場面だ。
だけどわたしはあのとき死のうとした。別に死にたいわけでもないのに。でもこれではまるで希死念慮を抱く人間のように思われないだろうか。そう思いながらちらりと佐藤刑事と高木刑事の顔を見ると至って平静に話を聞いてくれていたのでほっとする。もしかしたら、人間は困惑すると変な行動に出る、くらいに思ってくれているのかもしれない。


「目が、合って。女性でした。細身で・・・なんか、違和感のある身長だったから、厚底の靴を履いてるんだとはすぐ思いました。あと、手元にハンマーがあって、ああ、やっぱりって・・・」


つう、と背中に汗が落ちる。何故だか喉がカラカラに乾く気がした。え、どうして。なんでいまになって、そんな。


ぽたっ。


自分でもびっくりするほどノーモーションで涙が落ちた。混乱する。どうして泣いているんだ。今になって?今になって。
そう、今になってリアルになったんだ。あの恐怖が。


「あ、す、すみま、」

すみません、と言うこともできずわたしの両目からはぼたぼたと涙が溢れる。えええ。うそ。どうしたどうした落ち着け涙腺、いまは崩壊するタイミングじゃないぞ、佐藤刑事も高木刑事もびっくりしてるぞ。

慌てて手でゴシゴシと拭うと、それを止めるかのように安室さんがハンカチを渡してきてくれた。


「・・・もういいんじゃないですか?僕はジョギング中に彼女が襲われるのを見て止めに入りました。そこからのことは僕がお話します、なので少し彼女を休ませてあげてください」
「あ、いえ、あむろさ、そんな、へいきです、すみま・・・」

ハンカチも悪いです、と返そうとしたが目には見えないすごい圧力をかけられながら渡されてしまったので仕方なく受け取って顔を拭く。うう、今度洗って、何かお礼の品と一緒に渡さなければ。そう思いながら目元を押さえているとふわりと柔軟剤の匂いがした。あ、いい匂いだ。とても、落ち着く。安室さんの匂いがする。
そこまで思って本格的に変態ではないかとわたしは今度は違う意味で泣きたくなった。


「もう中村さんに聞くことはないと思うので、彼女には外で待っていていただいてもいいのでは?・・・いや、一人にするのは心配ですね。高木刑事と言いましたか、僕が他の質問に答えるので彼女を休ませてあげてください。佐藤刑事は別室で彼女に何か温かい飲み物を」


まるで部下にするかのごとくテキパキと指示を出す安室さん。私はさすがにそれは悪い、と慌ててしまう。

「そ、そんな、大丈夫です、」
「いいえ。人の心というものはそんなに単純ではないのです。大丈夫だと自分で思っていても実際はそうでないことも多くある。中村さんは少し休んでいてください、もし待っていていただけるなら送りますが、帰りたければ先に帰っていただいても大丈夫なので」

安室さんの言葉には有無を言わさないものがあった。そんなの佐藤刑事にも高木刑事もご迷惑をおかけするだけなのでは、と申し訳なくなっていたが、どうやら彼らは安室さんの指示に従われるみたいで。

「いきましょうか、中村さん」
「あ、は、ハイ、すみません」


わたしはもうどうしたらいいのかわからずひたすら謝罪をしながら佐藤刑事について部屋を出るのだった。


































「はい、どうぞ」
「す、すみません・・・」


結局わたしは佐藤刑事に連れられてまた別の個室に入った。その道すがらで自販機にて温かい紅茶のペットボトルを買っていただいた。通された部屋の椅子に座って蓋を開けてそれを口にすると、熱くて甘くて少しだけ心が落ち着いた。
あ、なんの断りもなくハンカチ握りしめたままでてきちゃった・・・。洗って返すつもりだったけれど(もしくは買って返す)、何も言わずに持ってきたのはよくなかったかな、と反省する。

まだ日が高いので、大きな窓があるこのお部屋は開放感があってリラックスできた。


「本当にすみませんでした、嫌なことを思い出させてしまって」
「い、いえいえ!こちらこそなんというか、お恥ずかしい」
「恥ずかしくなんてないですよ、普通のことだと思います」

佐藤刑事は笑顔でそう言ってくれた。ああ、素敵な人だなあと思う。美人さんで優しくて気立てもよくて腕っぷしも強いとか。羨ましい。
こんな女性になりたかったな、とふと思った。



「佐藤刑事は・・・というか、刑事さんはすごいですね。きっといっぱい怖い思いをされてきたんでしょう?」
「まあ、でもそれが仕事なので」
「それを仕事に選んで、日々頑張られていることがすごいです」
「ありがとうございます」

そして佐藤刑事は微笑んだ。そりゃあ、マドンナになるわな・・・と改めて思う。


「でも、安室さんのおっしゃった通り。本来であればとっくにあんな犯人捕まえておくべきだったんです。初犯でもなく、4回目。早く捕まえていれば、中村さんに怖い思いをさせることもなかった」
「いえいえ・・・刑事さんって、褒められることはそんなにないのに責められることは多くて大変ですよね。それにわたしは安室さんのおかげで無事だったから。あはは、いい経験になったと思ってこれから夜道の一人歩きは絶対にやめます」


努めて明るく言うと、佐藤刑事は困ったように笑った。そうですね、もうやめてくださいね、と念を押されてわたしは何度も頷く。うん、ちょっと、落ち着いてきた。わたしはもう一度紅茶を飲む。甘くてあたたかい。そうしていると佐藤刑事が口を開いた。


「にしても、あの安室さんって方・・・もともと知り合いとかじゃ本当にないんですよね?」
「?はい。たまたま通ったって言ってました」
「そうですか・・・。あっいえ、なんというか、まるで昔からの知り合いみたいに中村さんのことを気遣ってるように見えたもので」

そう言われて確かにと思う。初対面にも関わらず今日も安室さんはとにかく丁寧にわたしと接してくださっているというか、きめ細かいケア?をしてくれているというか、優しいというか、ありがたいというか、存在に感謝というか、安室の女でよかったというか、もうほんと神様では、というか・・・。



「すごい人ですよね・・・あんなにかっこよくてお優しくてなんでもできて、こんなわたしみたいな一般人が話すのも恐れ多いというか、どこにお金を振り込めばいいんだろうというか、わたしも安室さんのような素晴らしい人間になりたいというか、いやまあそもそもそれ以前に無職なんですけどねわたし・・・」
「厄年・・・ではないんですよね」
「ではないはずなんですがお祓いにでも行きましょうかね・・・」


そんな話をしていたらずいぶんと心が凪いだ。よかった。もう本当に大丈夫だ。あのとき安室さんが気遣ってくれた通りに外に出て正解だったな、と思う。


それから佐藤刑事はこの世界について何も知らないわたしにいろんなことを教えてくれた。例えばオススメの観光地とか、どこで買い物すると安いとか、美味しいご飯屋さんとか。そういうの知らなくて不便だったから普通に助かるし、そしてそれ以上に佐藤刑事のオススメを教えてもらえるなんて予想もしていなかったのでとっても嬉しい。それに佐藤刑事は明朗快活で話しやすくてありがたかった。

よかったな、と思っているとコンコンと扉をノックされる。はい、と佐藤刑事が返事をして扉を開くと高木刑事と安室さんが立っていた。


「終わりましたので、安室さんをお連れしました」
「待っていてくださったんですね、ありがとうございます。お待たせして申し訳ありません。では、帰りましょうか」


そう言って安室さんは穏やかに笑う。はい、と言って立ち上がったわたしは、楽しい時間を過ごさせてくれた佐藤刑事に何度もお礼を言って署を後にした。























「さっきは本当に、ありがとうございました。あの、ハンカチ洗って・・・いや、買った方がいいかな、買って返します」
「そんなお気になさらず。ただの普通のハンカチですし」
「でも」


わたしと安室さんは二人で並んで車を目指して歩く。今日は本当に天気がいい。あたたかい日差しを受けながら安室さんの隣を歩くなんて本当にものすごい役得である。安室さんはどの角度から見てもひっくり返りそうなくらいかっこよかった。


「いいんです、本当に。にしてもずいぶん落ち着いたようですね、よかった」
「お陰様で。ほんとに、なんだか何から何まで助けてもらいっぱなしで申し訳ないです・・・どうお礼をしたらいいのか・・・」
「そんなに恐縮しないでください。大したことはしてませんから」

いやこれで大したことじゃなかったら何なら大したことになるんだろう。そう思いながら安室さんを見ると彼は相変わらず優しく微笑んでいる。本当にかっこいい、世界一かっこいい、死ぬほどかっこいい、そしてすごい人である。
きっと、もっとずっとすごいことをたくさんしているから人をひとり救ったり優しくしたりするくらいのことはなんとも思っていないんだろうな。聖人かな。


「あ、あの。その・・・よかったら、お礼に受け取ってください。これこそ、本当に大したものじゃないんですけど」


そう言いながらわたしは手にしていた最中の袋を渡す。安室さんはパチパチと目を瞬いた。ヒェッその仕草世界一かわいい、安室瞬き耐久動画にして一生眺めていたい。そんなことを考えながらデパートの手提げ袋を渡すと、いいんですかと窺いながら安室さんはそれを受け取る。ええそれはもう!と何度も頷くと安室さんは少し笑った。

本当に綺麗なお顔だ。


「あの、お口に合うかわからないんですけど。よかったら食べてください、本当にありがとうございました」
「では、せっかくなのでお言葉に甘えて頂戴します。ありがとうございます」


そうやっていると、初めてこの世界にトリップしてきてよかったなと思えた。本当に訳がわからないし帰りたくてたまらなかったけれど、安室さんといるととても心が落ち着く。もはや安室さんに会うためにトリップしてきたのではないかとすら思えてきた。いやそんなわけないんだけど。それくらい落ち着く。

もっと一緒にいたいなとふと思って、いやいやそんなおこがましい、とかぶりを振った。ただでさえ忙しいトリプルフェイスを持つ男。しかも本来なら関わることもなかったはずのハンマー男の事件に巻き込んでしまっているのだ。


「どうぞ、乗ってください」
「はい、本当にありがとうございます」



ようやく駐車場内にある安室さんのRX-7の元に辿り着き、わたしはまた助手席に乗せていただいた。そこでふと考える。



「(さっき、安室さんに会うためにトリップしたんじゃなんて馬鹿なこと考えたけど・・・本当の本当は、どうして、誰に会うためにトリップしてきたんだろうなあ)」


いつかわかる日が来るのかしら、そう心の中でつぶやきながらわたしはシートベルトを締めた。それを確認して安室さんは車を進める。



「中村さん」
「はい」

突然、なんだか少し重々しく呼びかけられてわたしは振り向いた。安室さんは前方を見たまま話を続ける。


「これから、二度と、絶対に夜遅くに一人で出歩いたりしないと約束してください。もしどうしても見たいレイトショーがあるとか、他にも何かどうしようもない理由でそうなりそうな時は、必ず僕に連絡してください。いいですね?」
「えっ、」
「いいですね」


戸惑っていると安室さんは一瞬だけちらりと視線を寄越してきた。有無を言わさない声に、わたしは慌てて頷く。


「は、はい」
「約束ですよ」


そうすると安室さんは少しだけ穏やかに微笑んだ。ああ、かっこいいな、と思いながらどうしてそんなに気にかけてくれるんだろうと考える。やっぱり安室さんは、日本国民全員を守るという使命の元生きていらっしゃるんだろうな・・・。
遅くなっても連絡することはないだろうけど、絶対一人で帰らないようにしよう。少しの道でもタクシーを使おう。


「あ、いま連絡することはないだろうなって考えてますね」
「えっ!?なんでわかったんですか!?あ、」
「・・・約束ですよ、と言ったのに」


完全に心の中を読まれてびっくりしてしまい、
まるで自白のようなことを言うと安室さんはじとりと白い目を向けてきた。いやそんな、あの、わたし天下の安室さんを簡単に呼んでいいような人間じゃないんですよ・・・!

慌てふためきながらわたしは必死に言葉を紡ぐ。


「で、でも、もう夜道は歩きません、タクシー使います、約束します!」


一生懸命訴えると妙に声が大きくなり、上擦ってしまって恥ずかしい。そんなわたしに安室さんは少しだけ苦笑した後、前を向いたまま言った。



「・・・まあいいでしょう。でも忘れないでくださいね」



僕とあなたはもう、友達なんですから。これから先、どんな些細なことでも、好きに頼ってください。



そんなふうに言われてわたしはなんだかこそばゆいような照れくさいようなそんな気持ち半分、恐れ多いという気持ち半分でなんどもなんどもコクコクと頷いた。ぐるんぐるんに感情が振り回される。これ以上の殺し文句があるだろうか。


安室透、本当に、恐ろしい男だ・・・。






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