後書

この度は、「暁天の白むころ」を最後までお読みいただき誠にありがとうございます。私自身、ここまで長い話をキチンと完結することが出来て感無量です。最終話を書いた勢いで現在この後書を書いています。

まさに大団円という形で、ふたりの"始まりの一年"はこうして幕を閉じました。物語は終わってしまいましたが、ふたりの人生はこれからです。どうか描かれていない未来のことも含めて、彼らに想いを馳せていただければ幸いです。

全体を通して切ない話ではありますが、そればかりではなく未来に希望を持てるような話になったように思います。
27歳の優しくて格好いいスーパーダーリン成宮鳴は、とにかく私の理想です。でも彼自身の内面はあんまり変わってない…いつだって自分が一番じゃないと気がすまない、マウンド上の王様。それは1話から一貫して書いてきた事実です。
それでも、暁天の成宮が大好きです、という風に皆様から沢山のご感想を頂けてとにかく嬉しかったです。ありがとうございます。

私にとって成宮鳴は、「ちょっとだけ…」と沼に片足突っ込んだら、気づけば底無し沼にずぶずぶ身体が沈んでいたという恐ろしい存在なんですが。それを皆様にもこの作品を通じて体験していただけたでしょうか。
メイ・ナルミヤはいいぞ…。

以前メモにも記したように、このお話はなにか成宮の話を書きたいな、と私が考えていた時にKingGnuの「白日」を聞いて乾さんばりに雷に打たれたような衝撃を受けたところから始まりました。
「真っ新に生まれ変わって 人生一から始めようが へばりついて離れない 地続きの今を歩いているんだ」という歌詞が、私が学生の頃に読んだ北村薫先生の「スキップ」という小説を連想させ(気になる方は是非探して読んで頂きたいです。まさしく人生をスキップする話です)、こういう話を書きたいと強く感じ、そして執筆に至った経緯があります。

書き始めた当初は、そもそもが特殊設定ですし、加えて連載話数の半分ぐらい主人公が「一也、一也」言っているので果たしてこれを成宮夢として受け入れてもらえるのか…さらに話の中盤で(皆様うすうす感づいていたように)御幸に失恋することを認めてもらえるのか、優しいだけじゃない成宮鳴の本質にがっかりされないか…オリキャラ多すぎないか…など。とにかく不安だらけの連載でしたが、それでも感想をくださる皆様の声に背中を押され、ここまで辿り着けた次第です。
皆様、本当にありがとうございました。

この話は主人公である夢主の物語であると同時に、成宮鳴の物語でもありました。書き始めたばかりの頃は作者である私自身もそんな風に考えてはいなかったのですが、書き終わった今、強く心にそう感じます。
それを理解できたという点でも、この話を書いて良かったな、と思うのです。

あなたにとってこの作品が、希望になり、そして思い出の話になりますように。細やかながら、祈っております。






以下、イメージソングについて書かせていただいております。
主人公の設定もあり、暁天と音楽は切っても切り離せない存在です。こちらも以前メモに記したものと重複する部分もありますが、ご了承ください。
お時間ある時にお読みいただけると嬉しいです。

連載全体のイメソン
・白日 / KingGnu
・はじまりのうた / GLAY
・イエスタデイ/ Official髭男dism
・いちばん近くに/ HY
・GET TO THE TOP (ありがとう成宮鳴!)

第1部&第2部
・Flowerwall / 米津玄師
・Lemon / 米津玄師
・Pretender / Official髭男dism
・366日 / HY
・優しいキスをして
・LADY / Official髭男dism

第3部
・Be Strong / 西野カナ
・柊 / Do As Infinity
・深い森 / Do As Infinity
・目眩 / 鬼束ちひろ
・アイネクライネ / 米津玄師
・メトロノーム / 米津玄師
・トロイメライ
・まちがいさがし / 菅田将暉
・あなたがいることで / Uru
・プロローグ / Uru
・ORION / 中島美嘉
・ねぇ / 藤田麻衣子
・愛にできることはまだあるかい / RADWINPS
・Sha la la / Skoop On Somebody
・HOME / ズボンドズボン

エピローグ(25話&26話)
・恋 / 星野源
・ロードムービー / 高橋優


全28曲。約4ヶ月間の執筆のお供でした。是非聴きながら、また暁天を読み返していただけると幸いです。

長いようで短い期間でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
また今後ともよろしくお願いします。

(2020.05.17 秋吉)