地方から上京してきて、大学生活。
高校の時から漠然東京というものに憧れていて、家族にお願いして、無事合格して、一人暮らしを始めて。
キラキラした女子たちに囲まれて、テニスサークルなんかに入って、華々しい大学生活を送ることを夢見ていた私だったけど。
現実はというと。
地元には到底いなかっただろうという、キラキラしすぎた女子大学生ばっかり。
正直、ちょっと、いや、かなりついていけず。
だから、大学3年生になった今でも、数えるほどしか友達はいない。
近寄りがたい雰囲気がでてしまってるのかも、なんて自分でもわかってはいるんだけど、やっぱり、さらけ出すのはなんか怖いなあって思っちゃう。
想像していた生活とは全く違う生活。
授業も、全然面白くないし。
でも最近、ひとつだけ。
ひとつだけ、大学に通う目的ができた。
あ、今日もいる。
授業が終わって、一目散に向かう先は、図書館。
バイトのない日は、欠かさずに行ってる。
きっかけは、暇なら資格でもとれば、なんていう話半分で聞いてたお母さんの言葉。
お父さんが持ってるし、なんて軽い気持ちで選んだ公認〇計士。
少し経ってめちゃくちゃ難しい試験だって知って後悔したけど、時すでに遅し。
お母さん、気が早いから、勝手に予備校まで決めてて、あげく授業料まで振り込んでたみたいで、頑張りなさいって言う。
勝手に振り込んだ癖に、受からなかったら予備校授業料返してね、なんて半ば脅しともとれる言葉に、仕方なく、図書館で勉強を始めたわけだけど。
すぐ、図書館に行く別の目的ができた。
錦戸くん。
同じ学年の、同じ学部の男の子。
喋ったことは、数えるほどしかないけど。
一階の、パソコンの並ぶスペースの一番奥、窓側の席。
ほとんど毎日、なにかの勉強してるみたい。
勉強する横顔がとてつもなくかっこいい。
彼の3つ隣の席が、私の定位置。
ちらっと見ると真剣な表情で勉強してるの見れて、もうそれだけで楽しくて。
この機会を与えてくれたお母さんに感謝だ。
予備校のチョイスも完璧。
ライブ授業もあるけど、動画で授業見れるから、通わなくても大学の図書館で見れるの。
錦戸くんのおかげで進捗状況もばっちりだし。
大学生になって初めてというくらい、学校が楽しいし、充実してる。
見てるだけだけど、それだけで。
今日もいつもと同じようにテキストを開いて、勉強を始めた。
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