「いやあ、緊張する…」

待ちに待った、菜穂の彼氏と会う日。

安田さんが予約してくれていたお店で、安田さんのお仕事が終わるのを菜穂と待っていた。

さすが芸能人ってお店。

おしゃれだし、多分私は誘われてなかったら一生来ることがないようなお店。

きっと高いんだろうな…お財布を少しだけ確認したい気持ちになる。

菜穂は章大くんがごちそうしてくれるからって言うけど、菜穂はそれでいいかもしれないけど、私は他人だからなあ。

初対面の安田さんにおごってもらうのは悪いよね。

「そんな気張んなくてん大丈夫だよ。章大くん、芸能人オーラあんまりないし」

菜穂は緊張してる私見て笑ってるけど、初芸能人、ドキドキしないわけがないじゃん。

どうせ菜穂だって、初めて安田さんに会った時は似たようなもんだろうに。

「そうはいってもさ…そもそもこのお店の雰囲気だけで圧倒されてる」

「まあ確かに、大学生だけじゃこないよね、もう私は慣れちゃったけど」

「さすが社会人と付き合う菜穂の余裕…分けて欲しい」

そんなこと話してたら、個室の向こう側から声がして。

「え…ふたり?」

菜穂はケラケラ、笑ってるけど。

聞いてない、あと一人はだれ?

混乱してたらあっという間にドアが開いて。

「こんにちは〜」

気の抜けた挨拶とともに、安田くんのにこにこした笑顔と、

「おつかれ章大くん」

「こんにちは…」

不愛想な錦戸くんが入ってきた。

ええええええええええええ?!

聞いてない聞いてない!!!!

錦戸くんまで、なんて。

「あ、こんにちは…」

「苗字ちゃんやんな?もう話聞きすぎて写真も見すぎてて初対面な感じせえへんわあ」

「あはは。章大くんと錦戸さん、何飲まれますか?」

「ビールかなあ、亮もそれでええ?」

「おん、ええで」

「苗字もビールでいい?」

「うん……」

もうなんかびっくりしすぎて、何も考えられなくて、

「びっくりさせちゃってごめんな〜?」

安田くんの言葉に、うなづくことしかできず。

ファンってほどではないけど、やっぱり芸能人ってなんか、特別感ある。ありすぎる。

ほんとに、なんでこんな展開に?