***
なんとなく、違和感があることには朝から気付いていた。いつもの朝食、いつもの会話、いつものバトルにその帰り道。何が違って何がおかしいかなんて言葉では言い表せなかったけれど、ぴったり嵌るはずのジグソーパズルが不思議とどれも合わないような、そんな感覚に心が次第にもやもやと曇り始めてそこでようやくもしかしての可能性が頭の中に浮かんだ。といっても、その可能性はあまりにも現実離れしていて、確かに今隣りにいる存在はサキそのものであったし変装だとかそっくりさんだとか、そういった次元のレベルでもなくて目の前でコーヒーを飲んでいる彼は間違いなく本物の彼ではあった。ただ、どうも言動と行動、そして特に顕著だったのがバトルセンスの違いが違和感の原因ではあった。
「ごめんなさい、本当に、ごめん」
いつもは冷静に細められている赤い瞳が不器用に揺れている。余程動揺しているのか、こんなにも酷く取り乱した彼を見るのは初めてだった。もうこの時点で、彼がサキであると認識ができなくなった。同じ見た目の、同じ格好をした全く知らない違う誰か。そして、光の射す方から突然現れた知らないボーイが視認する情報ではその要素が零パーセントにも関わらず、自身の名前が呼ばれた瞬間、やはりそうだと確信できるほどに耳に馴染む感覚にこれまでの超常現象を認めざるを得なかったのだった。
「体は後でどうにかする。だが、今後お前をコイツと二人にするつもりはない」
「……っ、分か、りました」
「鍵と携帯は返す。あと、連絡先を教えろ。後で掛ける」
お互いの所持品を交換し、用事を済ませるとさっさと家へと帰されてしまったサキ(ではない誰か)は、路地裏からそそくさと逃げるように声を掛ける暇もなく背を向け走り去ってしまった。そして残された自分と誰か(になってしまったサキ)はなんとも言えない気まずい雰囲気の中、腕を引かれそのままアパートへの帰路を辿った。
「……どうして、」
「へ?」
「信じられる」
日はもう暮れかけて、辺りは暗く昼間はあんなにも溢れていたインクリングたちの姿は消え、街灯がなければ少しひやりとした感覚が帯びる中、一歩前を歩くサキが急にぼそりと呟いた。恐らく、再会できるまでも不安を募らせていたのだろう。姿も声も変わってしまったのに、どうやって声を掛ければいいのかときっと、何度も悩んだと思う。それでも、すんなりと受け入れてしまった自分への驚きや浅はかさ、それでも怒ることなく今も隣りにいてくれる彼が自分は嬉しくて堪らないというのに。
「……サキだなって、気付けたから。それだけじゃダメか?」
「だが……証拠なんて、一つも」
「オマエが自分で言ったんだろ? 何があっても隣りにいて欲しいって」
ただ、ちょっと遅くなっちゃったけどな。そう苦笑しながら答えると、すっと腕から離れた手、振り向いた彼の表情は確かに毎日見ている優しい顔つきそのもので、照れくさそうに目線を逸らしながらありがとうと小さく呟くものだからつい苦笑した。そして、その時初めて気付いたけれど、体が入れ替わってしまったらしい今のサキが誰の中にいるのかようやく気が付いた。どこかで見たことのある顔だと思っていたけれど、最近ちょくちょくナワバリバトルで合流しているフレンドの一人だったらしい。
「なんだ、知り合いか」
「最近フレコ交換した子でさ、ストリンガーの使い方教えて欲しいって声掛けられたから、よくマッチングして一緒にバトルしてたんだよな」
「ふうん」
「へ、変な勘違いするなよっ。アイツだってさっきまで戸惑ってたっぽいし。多分、どう説明したらいいのか分からなかったんだと思う」
「オマエがそう言うなら、信じる。ただ……」
「ただ、何だよ」
「……いや、いい。もう過ぎたことだな」
変に含みのある言い回しをするものだから少々気にはなったものの、どこか満足気な顔を浮かべた彼にまあいいかと次第にどうでもよくなってきて、その日の夜は不思議とまだ付き合いたてのような落ち着かない雰囲気で夕飯を食べ、いつものように風呂へ入り、彼は気を遣ってかソファーで寝ると言ってくれたけれど、無理矢理引きずり込んでは昨日と変わらず同じベッドの上に寝転んだ。
白い天井を見上げ、色々と信じられないことが起きていた今日一日のことを思い返してみる。朝起きた時からきっと、隣りにいたのはサキではなく最近知り合ったフレンドであったこと。キスとかしなくて良かったなとか、朝いちばんでそういう雰囲気になったら目の当てどころもなかったなとか、今となっては笑い話だけど、とにかく何事もなく再会することが出来て良かったという安心感が一番強いのかも知れない。
(夢じゃ、ないんだもんな)
ふと気になって、隣りで横になり静かに寝息を立てているサキをちらりと横目に見てみると、精神的にも疲れていたのか気付かない間に深い眠りについていた彼は名前を呼んでもなかなか起きそうにはないくらいには熟睡している。かといって、安心したのか寝苦しそうにしている訳でもなく寧ろ安らかであるものだから思わず口角が上がってしまった。と、同時にやはり彼がサキそのものであるものの、体だけが別人になっているという現実を突き付けられているようで、まだ一抹の不安は取り除かれてはいない。姿が変わっても側から離れる気はないのは勿論だけれど、それとこれとは話は別で、このまま本当に元に戻らなかったらどうしようとは思う。
(そうは言っても、原因が分かんないんじゃなあ)
焦りはあれど、そう一人で慌てたところで何も変わりはしない。そんなことくらいは分かっていたけれど、ぐっすり眠った夜が明けた次の日の朝に事態は急展開を迎えていた。
「戻った」
「だな」
目が覚めて視界に入った瞬間、見慣れた姿だというのに驚いて堪らずベッドから飛び上がってしまった。結局、どういう理屈だったのかは謎のままだけれど、今目の前には確かにいつものサキがいる。普段と変わらぬ装いで眠っていた彼は昨夜の彼と比べて一回りは体つきが大きいため、寝ている最中道理でなんだかベッドが狭くなったなあと寝ぼけながらに思った訳である。何にせよ、自分の体が戻ってきたというのは余程喜ばしいようで、起きて早々軽くストレッチをしたり、着ていたフクを脱いでは鏡で全身眺めてみたりと、従来では見られない奇怪で彼らしくない行動をするものだからこっそり笑ってしまった。
「調子はどう?」
「問題ない。正直、昨日のがまるで夢だったような気もする」
「だよな、俺も」
何にせよ一件落着で良かったなあと安心していると、ようやく落ち着きを取り戻したらしい彼がベッドに腰かけていた自分の隣りへ並び、突然ゆっくりと寄り添うように抱き締めてきたものだからびくりと体を震わせてしまった。急になんだよ、と照れくささ混じりに文句を言うも何も返答はない。さすがに不安になって恐る恐る声を掛けると、耳元でなんともか細い声で甘えてくるものだからどくりと鼓動が唸ってしまい次第に顔が熱くなってゆく。
「きゅ、急にやめろよ、そういうの」
「今日くらい、いいだろ」
「何で」
「……怖かった。もう、オマエに二度と会えないかも知れないと思ったら、死にそうなくらい胸が締め付けられて息が苦しくなった」
「さ、サキ……」
珍しく弱音を吐いている彼の表情をそっと窺うと、明らかに冷や汗のようなものを掻いていてさすがに心配になりそっと頬を撫でた。
昨日は余程驚いたのだろう。自分も同じ立場であったらきっと、知らない部屋でひとり不安で仕方なかったと思う。知らない場所、知らない自分、知らない町、ましてや自分自身が誰なのかも分からず、誰にも頼れない、連絡も取ることが出来ない、そんな孤独な環境に突然放り込まれてしまったら誰だって戸惑うに決まっている。本当の自分に戻ることが出来るのか、何故違う誰かになってしまったのかという疑問、そして。
「良かった、本当に。姿を見かけた時は安心したし、話が通じて安心した」
「……ごめん、俺、オマエがそんな状態だったことにも気付かないで、バトルとかしてて」
「構わん。それよりも、俺が説明する前からもう理解してくれていたことの方が、とても嬉しかった」
「それは、まあ……」
やはり、ひとが誰かになりすますというのは余程のことがないと至極難しいということである。見た目だけならまだしも、何度も会話をしていると次第に綻びが生まれる。そして纏っている雰囲気や喋り方の違和感は早々拭えるものではない。そして、バトル中の行動や挙動を日々彼の隣りで見ていた自分としてはやはり様子がおかしかったなと今思い出してもそう感じる部分があったため、ある意味では予定通りバトルに参加して良かったのかも知れないと思った。
「こうして毎日一緒に過ごしてんだ、そら分かるよ」
「……そうか」
「変な感じはするかもだけど、体が戻らなくたって俺はこれからも今まで通りでいるつもりだったし」
「ヒナタ……」
「勿論、ちゃんと戻れるように色々調べるつもりだったけど! でもまあ、無事に元通りになったから結果オーライってやつ?」
あはは、と目線を逸らしながら苦笑すると、つられるようにようやく笑みを浮かべたサキが視界に入って少し安心した気がした。と、同時に、するりとフクの裾から侵入してくる手の感覚にどきりと胸が高まる。いきなり何すんだ、などと文句を言う余裕もなくそのままベッドへ押し倒され、見上げた先にはふざけた様子もなく真面目な顔でこちらを見遣るサキがそこにいた。
「さ、サキっ」
「オマエを、直接感じたい」
「それって……」
「嫌ならやめる」
「……その聞き方はずるいって、いつも言ってるだろ」
ぷいっと顔を背けている間にもフクを捲り上げるように胸板に手を滑らせ、触れるような口付け、そして首から胸元にかけて流れるように音を立て、既にぴんと膨れた乳頭にしゃぶりつくものだから瞬間体がびくりと震えた。洗ったばかりのシーツを必死に握り締め、弱い電流のような刺激に耐えていると左脇腹に広がる痣に手を滑らせ、もう片方の空いた手で陰茎を根元から握り締めてはにゅくにゅくと扱くものだから信じられないくらいに甘い声が自分の口から次々と漏れてゆく。
「っ、う、んぅ……ひ、ああっ」
「……俺のも、一緒に握れ」
「は、あっ……う、んっ」
頷くと、右腕を引き寄せられぴたりと合わさった二本の陰茎を握らされた手の甲に彼の手のひらが重なって、そのまま再び上下に動かすうちに膨らみが増してゆき、ぴくつきながら浮いた太い血管とどくどくと波打つ感覚に吐く息が荒くなる。手を止めても半強制的に擦り上げられる予測できない動きに目を瞑って必死に耐えようとするも、痣から伝わる快感も合わさって体を捩ることしか出来ない。すると、しばらくしてすっと肌から手が離れたと思った直後、そのまま臀部の下へと潜り込み既にひくついた秘部へと太い指先をゆっくりと沈めていった。
「あっ、あ、っん、き、ついっ」
「力を抜け。少しずつ解す」
「は、ぁ、やだ、もっと早くっ、奥、欲しッ……」
根元ごと掴まれていた手と腹の底で疼いていた指が離れ、不思議に思い瞑っていた瞳をゆっくりと開くと、自身の胸に膝がぴっちりとくっつくつらい、裏側を両手で掴み上げられ、すっかり露わになった臀部を想像しては顔が熱くなる。その上、先ほどまで指が入っていた入り口に顔を寄せたサキは、じゅるじゅると吸い付く様に口をつけ、挙句の果てには長い舌先を中へ捻じ込まれる感覚に思わずびくりと腰が浮いた。
「だ、だめっ、汚いって……! ひ、くぅうっ」
「……もう、いいな」
「ひ、うっ、ちょ……待って、今日、ペースがッ……あっ、あ、ひああっ!」
慌てて上体を持ち上げようとするも、ぺろりと舌を巻き上げた彼に顔の脇へ両腕を縫い付けられ、こちらの制止をも聞かずにそのままこれ以上にないくらいに膨らみを増した彼の陰茎が水音を立てながら一気に突き抜けてきて自分でも驚くほどの甘い悲鳴が部屋中に響き渡った。押し付けられて自然と割れる両足の狭間に屈強な上半身が入り込み、腰を前後に動かしたまま噛みつくような激しい口付けにぷっくりと玉のような涙が浮かび、体と視界が揺さぶられる度に一粒一粒が頬を伝って流れ落ちてゆく。
「は、あっ、さっ、きぃ……ッ、ん、ううっ」
「ッ……もっと、欲しい、もっとッ……!」
「ひっ! ぁ、そこ、奥……きもちいっ、あっ、あ、やんっ!」
ばちゅばちゅと太く逞しい陰茎が腹の底から突き破ってくるような感覚にその都度ちかちかと意識が飛びそうになる。シーツごと掴まれていた腕が解放され、そのまま頭を持ち上げるように首の後ろへと回り、腰の激しい動きとは裏腹に抱き込むようにして汗でびっしょりの胸同士が隙間なくぴっちりと密着した時、すんと鼻に感じた濃厚な匂いが心地良くて無意識のまま自身の腕を応えるよう彼の首へと回した。すると、あれだけ欲求をぶつけてきたサキの動きが止まり、息の荒いまま赤い瞳と視線がぶつかった瞬間、まるでスローモーションのように感じるほどにゆっくりと落ちてきた薄い唇がそっと自身の唇と重なった。なんとなく恥ずかしくて、眠るように瞼を閉じる。それでも、何かが変わるわけではなくて、ただ、子供をあやすように頭を撫でながら抱き締める腕に力が込められていくのを感じた。
「ぁっ、んんっ……」
「……っ、ふ、う。ヒナ……」
「サキ……?」
「はあ、っく……」
彼の心臓が、自分以上に暴れている。まるでこの一瞬一瞬の時間を大切にしているかのように力が籠る手は微かに震え、必死に何かを抑えつけている様子に思わずそっと触れるように頭を撫でた。すると、ぴく、と体を強張らせるも身を任せるように首元まで顔を埋め、ずっしりとその重みを預けてくるものだからつい苦笑してしまった。
「あ、ははっ。苦しいっての」
「……我慢しろ、今日くらい」
「そう、だな……うん、分かった」
初めてサキと会った時、少なからず近寄りがたく怖い存在だと思った。それが、日に日に彼の色んな表情を見る度にその中の弱さや寂しさを知って側にいてあげたいという気持ちが生まれて、いつしか自分の中で唯一の大切な存在になって。そんな彼が、たった一日、だけどもしかしたら一生再会できなかったかも知れないという恐怖に襲われて、今目の前でこんなにも甘えて身を寄せているのが愛おしくて堪らない。
「気が済むまで、そうしてて」
「俺は、別に」
「じゃあ俺がこうしてたいから、こうする。いいだろ?」
「……分かった」
いい年した大人二人が体を繋げたまま、朝から一体何をしているんだろうだなんて思わなくもないけれど、こうして素直に自分を頼ってくれる、こんなにも自分のことを欲してくれることが嬉しくて、次第に息が整い始めたせいか瞼がゆっくりと下りてゆく。薄れゆく意識の中で、危うく聞き逃しそうなくらいの小さな声がぽろりと落ちて、どこか泣きそうな赤い瞳の目元へそっと口付ける。不思議と甘く感じた気がして、安心したかのようにそのまま微睡の中へと沈んでいった。
***
次に目覚めた時はもう昼飯時になっていた。すっかり眠る前の状態を忘れていたものだから、急に腰を持ち上げた直後、ヒナタのひっくり返るような悲鳴が上がって思わず笑ってしまった(もちろん怒られた)。
「イッてないけどいいのかよ」
「……夜の楽しみに取っておく。今は、オマエと一緒にバトルをしたい」
「えっ、あ……うん。分かった、じゃあ準備してくる」
随分と恥ずかしいことをしてしまったものだと思う。自ら誘っておいて最後まで致すことも出来ず、その場の感情に揺さぶられては結局ヒナタの優しさが心地よくてそのまま甘えてしまったものだから罪悪感が残る。だけれど、昨日からずっと苦しく感じていた胸の奥は気付けばすっきりと晴れていて、今頃ぷんすか頬を膨らませながらシャワーを浴びているであろう彼を想像しては、心の中で再び笑いつつ一日ぶりに触れたトライストリンガーを手に取った。
きっと、行けば会えると思った。一度会わなければ、彼自身に残る蟠りが奥底に溜まったままになってしまう、それはお互いにも気持ちのいいものではないことは間違いなかった。半ば無理矢理聞き出した連絡先に電話を掛けようとも考えたけれど、なんとなく掛ける気になれなくて取り出した携帯電話を折り畳んではジップアップカモのポケットに突っ込んだ。バンカラ街へ向かう途中、どうやら、ヒナタも彼の心配をしているようで、道端で群衆とすれ違うたびにきょろきょろと辺りを眺め、姿が見つからないとどこか残念そうに眉尻を下げている。
「……さすがに、そんな都合良く会えるわけないか」
「もしいたら、オマエならなんて声を掛ける」
「うーん……そうだな。とりあえず、バトル誘う」
「何?」
「俺、話下手っていうか、不器用っつーの? こういう時どんな話すればいいか分かんないし、だったら頭空っぽでぶつかり合えるナワバリバトルとか、一緒にやった方がお互いになんか伝わる気がしてさ。オーケーしてくれるか、分かんないけど」
「……オマエらしいな」
「やっぱダメ、かな……」
「いや。それに……噂をすれば、何とやらだ」
ナワバリバトルの参加申し込みを済ませたあと、ロビーのロッカールームで見知った顔を見かけ慌てて彼の側へと駆け寄ったヒナタの背中を見送っては少し距離を置いてその様子を眺めてみる。突然声を掛けられて驚いている彼が自分の存在に気付くと、少し気まずそうな様子で小さく会釈をされたので、返すようにそっと頷けば早くも緊張が解れたのか二人で楽しく会話を交わしているようで、ヒナタのその無自覚で不思議なパワーに相変わらず敵わないなと一人小さく溜息を吐いた。
「敵味方、どっちになっても恨みっこなしだからな!」
「お、俺だって負けませんからねっ」
「なんだ、つまりボコボコにされたいって事か?」
「冗談抜きで怖すぎるのでそういう事言うのやめてください……」
すっかり青ざめている彼(そんなつもりはなかった)を他所にヒナタを顔を見合わせてはお互いににやりと目を細め、バトル開始直前、トライストリンガーを脇に抱えてロビーの転送装置へと足を踏み入れた。その先のスポナーの上から眺める海の景色は射すような日の光を反射して綺麗に輝いている。その港に浮かぶマンタマリア号がゆらりと揺れて、潮の香る爽やかな風が懊悩していた頭の中をすっきりと吹き飛ばしてくれた気もした。
「二人とも向こうか」
それならば、容赦はしない。昨日は我慢をした分、今日くらいは暴れても許されるはずだ。などと、一人勝手に判断しては期待に胸を膨らませる。構えたトライストリンガー、両隣りでウデマエを見せつけたくて心躍らせているのを隠せずにいるチームのメンバー、やる気が満ち溢れた空に浮かぶスポナーに吸い込まれながら、これから始まるであろう興奮とステージに響いた熱気の含むスターターピストルに抑えきれない興奮に思わずにやりと口角を上げた。
(2025.08.22/信じあう心)
← →
‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
★