グリモールドプレイスのブラック宅で、私は昼間の新聞を読んでいた。昼は仕事で、届いた新聞を読む時間がなかったのだ。シリウスはとなりで両面鏡をチラチラと覗きながら、ラジオをつまらなさそうに聞いていた。
そこに玄関の開く音がしてしばらく、エイドリアンがマグカップを持って入ってきた。仕事帰りなのだろうが、それにしてはなぜマグカップを持っていたのか、私は気になった。中は空で、今から紅茶か何かを入れるのだろうかと思っていたが、彼女は椅子に座っても中身を入れる気配はなかった。シリウスもそれに気がついたみたいで、彼女にコーヒーでも淹れようかと尋ねた。
「その必要はないよ。これは今日死んだ患者のもので、いらないからと彼の奥さんに渡されたんだ。でも、使うつもりはない」
「たしかにちょっとゾッとするな」
「ああ___わたしは彼女が夫を殺したのではないかと疑っている。魔法では何も感知されなかったが、彼女はマグル出身で、マグル式で殺人をすることだって可能だからね。何かあるかもしれないから、くれ