rubbish
連載未定や短編以下のぼつ達

工藤新一
手を振り払ったのはどちらからだろう。わたしだった気もするが、新一からかもしれない。目の前で泣き崩れる蘭に寄り添い、慰め、わたしに感情のない目を向ける。今傷を負ったのはわたしであって、手のひらにべったりと付く血をどうやって隠せばいいのか、なんて。「蘭、大丈夫か」ああ。もはや、そんなこと必要ないのか。わたしの血まみれの手のひらだって、噛み締めた下唇が腫れてたって、新一はどうでもいいんだ。悲しい、悔しい、虚しい。どれもいまいち当てはまらない感情に目を伏せた。「おい。お前、まさか、あいつらに……」蘭を庇って突き倒したのはわたし。蘭を庇ってナイフが刺さったのはわたし。蘭を庇って絶望を見るはめになったのは、わたし。



top

ALICE+