STARS

星が見たい、そう思った京はライブでほてった体をそのままにメンバーたちに何も言わずにふらりと外へと出ていった。それに気づいた鈴火は、那由多に京を追いかけてくると言うとその後をついていった。
まあ、二人なら平気かと那由多もそれを見送った。

「……あ、いた。」

エデンの近くにある公園のベンチに腰を下ろして空をみあげている京を見つけた鈴火は、ぱたぱたとそれに近付いた。

「京〜!」
「……!……鈴火、か……。」
「ふらっと出ていくからどうしたのかなーって。」
「……そう……だな……星を……見ていた。」

そう言って京は再び視線を空へ向ける。そんな京の隣へ、鈴火はちょこんと腰掛ければ同じように空を見上げた。

「お星様すき?」
「……すき……というか……いや、好きだな……。」
「そうなんだ。」

それ以上は鈴火は特に聞いてこず、たまに流れ星ないかななど小さく呟く程度だった。そんな時に、不意に手が触れると鈴火はびくっと軽く震えて京とその手を交互に見やる。

「京の手冷たい〜!」
「……ああ……すまな……、」

そう言いかけた京が今度はびくりと肩を震わせた。鈴火がぎゅっとその手を包むように握りしめていた。じんわりとした体温が冷えた手にしみ込んでいく。

(知ってはいたが……鈴火は本当に距離が近いな……。)

そんなことを考えて無言の京を見ると、少し罰が悪そうに鈴火は口を開いた。

「ごめん、嫌だった?よくお姉ちゃんに叱られるんだよね〜、近すぎるって……。」

そう言いながら手を離そうとするものの、鈴火の体温に心地よさを感じた京は無言でぎゅうとその手を握った。

「へ?」
「……嫌では……ない。」
「そう?」
「……ああ……。」

じゃあこのままにしておくね、と言うと鈴火は手を握ったまま再び空をみあげていた。そんなところにちょうどエデンに住み込んで働いている見習いと呼ばれている女性がやってきた。他のメンバーが京と鈴火がいないのを気にしていたと聞いて、何も言わずに出てきたからなと思いつつ、京は鈴火と星を見ていた旨を伝えた。
すると彼女も見ると言うので、鈴火は少し京の方へと詰めて座る。

「……あ、京温かい〜。」
「………鈴火の方が……温かいと思うが……。」

そう言って軽く身を寄せる鈴火を特に拒否することもなく、京は手を繋いだままでそう呟いた。そんな二人を、見習いは少し微笑ましげに見つめていた。そうしているうちに、見習いが京に星に思い入れがあるのかと問い掛けたことで、京はいつもより饒舌に、自分の昔の話を始めた。それを、見習いと鈴火はただ聞いていた。

「……オレにしては随分喋ってしまったな……。」

そう言って吐息を漏らす京の手をぎゅうと、鈴火は握り直した。それに反射的に京も握り返し、そしてその手を引くように立ち上がった。

「……今からでも打ち上げに合流するとしよう……鈴火も……行く、だろう……?」
「うん。」
「……話に付き合わせてわるかったな……。」

頷いた鈴火を見てから、京はそう見習いに言うと、スターになってほしいという彼女に僅かに笑みを浮かべて答えてから、鈴火の手を引いて歩き出した。

「京〜、」
「…?」
「京の歌、ベルもお姉ちゃんも聞こえてるからね!」
「……ああ。」
「だから……うーん、上手く言えないけど……もし京がキラキラできなくなったら、ベルが照らしてあげるからね!」
「……!……そうか。」

自分より年上のはずなのに、無邪気に笑ってそう言う鈴火に、京はふっと笑うと握る手を再び強めに握る。

「……急ごう、か……。」
「うん……あ、あっちのお店だってー。」
「……わかった。」

那由多から連絡が来たらしい鈴火の指差す方へと二人は歩いて行く。その日を堺に、京に鈴火はよく懐くようになるのはまた別の話…。

END
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作成:17/10/30
移動:20/8/31

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