忘却の姫子
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レゼナが咲いた日 
「ふうん。誰なんだろうな、その男」
「知らない。あの人もユージンも、ホント信じられないったら」
「そう怒るなよ」
「これが怒らないでいられる!?」

 失礼しちゃう、とプリプリ怒るミルフィに、ハウエルは困って後頭部をガシガシ掻いた。
 信じられなかった。当然、ユージンはミルフィに詳しく彼を紹介してくれると思っていたのだ。どころか彼の不躾な態度を咎めるでもなく、外に出ていろと来た。実際にはユージンは家を出て行けなどとは一言も言っていないが、結果的には同じことだ。
 ルシアスは、これまでのユージンの来客達とは明らかに違う。いつもだったらミルフィがお茶を出して、時には一緒に談笑することだってあった。
 外に出ていろと言われたのは初めてだった。

(ユージンの馬鹿。私を除け者にするなんてあんまりだわ)

 私よりあの人の方が大事なの!? とまるで幼い子供のように腹を立てていた。
 私を外に追い出してまで大切なことって──何?

忘却の姫子