ラスナーダ亭
レゼリュウスの自宅へと二人と共に戻ったミルフィ。ユージンの行方の見当がついたというルシアスの言葉に安堵をしたものの──ルシアスは、明確には明かしてくれなかった。やはり何か危険の伴うことだからだろう。
初春の柔らかな風を自室の窓辺で受けて、せり上がる不安をどうにか飲み込む。
──その頃。
ルシアスは、庭で、一羽のラズロ鳥を呼び寄せていた。雛の頃から飼い慣らしていた伝書鳥だった。
頭部は青灰色、背と肩羽は光沢のある金緑色。ルシアスはチル、と名付けていた。雄だ。
クルル、と鳴き、手首に降り立ったチルの足に結わえられていた紙片を取り、餌をやる。
その場で紙片に目を通した。
──レイダー島
との一文のみ。密書などは、こうした暗号のような一文のみでのやり取りが普通だ。レイダー島はこの大陸の何処にも存在はしていない。だが。
「…………」
やはり、か。とルシアスは仲間からの通達に口の中でつぶやいた。ユージンは生きている。しかし──監獄島で。ラングラート親衛隊との密接な関わりのある監獄島だった。
目的は定まった。