恋するカメラ。 
 ◇


 慎二は渡米一年目で、アメリカの地でカメラマンとしてデビューをした。
 アメリカに移住をすると唐突に告げられたその日のことは、今でも鮮明に覚えている。年月日と日付まで克明に。二○××年六月六日。雨が数日間続いてカラリと晴れた日の月曜日の朝だった。
 何故ならばその日は自分の二十五回目の誕生日だったから。
 贈り物が渡米を告げる報せだなんてあんまりだ。
 慎二は昔から根なし草でロクデナシでカメラと煙草が無くては生きては行けない男だった。

 愛している。でもお前と一緒にはなれない。

 だったらどこまでも追いかけるよ。それで文句はないでしょ?
 今は日本を離れられない。仕事だってあるし。その頃は、雑誌の編集の仕事がやっと軌道に乗ったばかりだった。
 だから。
 チグハグな愛の告白の返事をしに。
 いつか必ず行くからねとだけ伝えた。
 お土産のビンタと一緒に。

 それから三年の月日が流れた。

 慎二。覚悟はいいかな?
 湿布を用意して待ってなさいな。


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