いわくつきのキスシーン
「私が日本に?」
入り組んだ路地の先の先にある隠れ家的バーに男女が二人、男は黒い帽子を深くかぶり黒いロングジャケットを着こんでいる。そしてこれまた女も黒いシックなタイトドレスを上品にそして怪しげな雰囲気を持って着こなしている。
「今日本でバーボンとベルモットが組んで動いてる、俺はあいにく二人とも気に食わねぇし信用もしていない…。そこでアンジュ、お前に監視を任せる。」
「……それはジンの独断でなくて?正直面倒だし私はあの二人が裏切るとも思ってないから気乗りしないのだけど。」
「あのお方ににも話は通してあるし明日には発てるように手配済みだ…」
ニヤリと笑う男に何を言っても無駄だと判断したのか女は一つため息をついて残った酒を一気に流し込み席を立った。そのまま出口に向かおうとする女の腕をジンと呼ばれた男が掴み一気に距離を詰める。
「っ!なんのつもり…」
女が言葉を紡ぎきる前にジンは荒々しく唇を奪い舌でペロリと舐め上げる。
「アンジュ…、てめぇが帰ってくるのはここだ…逃げるなよ?」
「逃げも隠れもしないわ…、でも帰る場所も生きる意味も私が決めるもの。それじゃあね」
妖艶な笑みを浮かべそのまま去っていくアンジュ、最後にボソリと「Make my day」と呟いた。
それを聞いたジンは至極楽しそうに口元を緩めたのだった。