終わりのピリオドと始まりのスタート
戦いが、終わりを告げた。闇陣営との戦いが、今幕を閉じたのだ。
安堵からか持っていた杖が私の手から滑り落ち、カランと軽い音を立てる。
その音が合図だったかのように、戦いが終わった事で呆けて突っ立っていた人達が、わぁっと歓声を上げながらハリー達の元へと走って行った。
私は落とした杖を拾い上げ、負傷した足を軽く引きずりながら壁にもたれかかった。
セブが死んでしまった。ルーピンも、トンクスも、シリウスもダンブルドアも誰かも。
自分のやるせなさに涙しながら、今のこの平和な世界に、戦争の終焉に安堵した。
彼らのおかげで今がある。
私は彼らのために生きよう。
たとえ彼らがいなくても、私の中で息づいているのだから。
*
あの後生徒達は先生に引率され、学校に戻った。
今頃はあの壊れかけたホグワーツで寝静まっている事だろう。
私達大人はと言うと ──
「さぁ飲んだ飲んだ!!今日はお祝いだぜ!!」
酒が飛び交うどんちゃん騒ぎである……。
「名前!お前も何か飲むか?!」
行き付けの薬草の店の店主さんが私の肩をビールジョッキ片手に組んできた。
店主さん、今この状態で声かけてこないでください。
今度たくさん薬草買いますから頼むから今はやめろ。
「すみません……私今日はこれくらいで……」
「何だ、体調でも悪いのか?」
「そうみたいです……それではお先に失礼します……」
ホグズミートの酒屋から出れば、通りの店は皆明かりがついていた。
こんな夜更けまでご苦労なこって。
内心舌打ちをしながら、私は家まで歩いた。
「落ち着く……」
自室のベッドにダイブし、ふかふかの布団に迎えられる。
うん、さすがベッド。
人間をだめにする最強の物体なだけある。
私はそのまま服を着替えもしないまま、意識を飛ばした。