
出会いは突然と
「やっと着いた……」
人々に不審者だコスプレイヤーだの言われながら、やっと駅に着いた。
改札口あたりまで行こうとすると、看板に大きく駅名が書かれていた。
"米花駅"
「は……?」
ちょ、待て待て待て落ち着け、落ち着くんだ私。
確かにあの大好きな某名探偵が小学生になっちゃった漫画に登場する駅名だけどすごくそっくりだけども!!そっくり通り越してそのまんまだけども!!
頭を抱え、軽く拳で自身の頭を殴った。痛い。
しかし駅名はそのまま米花駅。なんてこったい。
電柱に貼られている住所を見てみれば、やはり米花町と書いてあった。
私コナンの世界にトリップしたのか……!?
手が軽く震え、興奮で息ができない。
嬉しすぎてそのまま小躍りしたいくらいだ。
コナンが好きすぎて、学生時代はわざわざ母から新刊やDVDが出る度フクロウ便で送ってくれと頼み込み、夏休みや冬休みには必ず日本に行き、アニメショップでグッズを買い占めた。
それくらい私はコナンが好き。
そういえば友人が腐女子だったな……、あの子は確か赤安推しだった気が…。
私は腐女子ではなかったため、攻めがどうだの受けがかわいいだのよく分からなかったが、友人が熱く語っていたのは覚えている。
確か純黒で観覧車で殴り愛でどーだのこーだの安室さんがかわいくて赤井さんがかっこよくて……。
そう思えばここが本当の米花町ならば、キャラ達に会えるのでは。
ハッと思い浮かんだが、すぐにその考えは打ち消した。だって、だって。
あの恐ろしいくらいの推理力を持った小学生を皮切りに、化物レベルの敏感さと推理力、攻撃力を持った奴らがゴロゴロいるのだ。下手したらアクション漫画に含められるレベルの身体能力を持っている人達がいるのだ。
迂闊に近づけば怪しまれ、誰だお前はこのコスプレイヤーめと精神的にも物理的にもボコボコにされ疑われ袋詰めできっと終わるに違いない。
最悪お縄にかけられる。
それにあくまでキャラ達を拝みたいだけだ。関わりたい訳ではない。
それに事件にも巻き込まれたくない。
ダイ〇ン(人間バージョン)のようなコナンに近づけば、その変わらない吸引力で事件を吸い込むに違いない。
そもそも原作本を全て読み、内容を知っている私が近づけばお話が崩壊しかねない。
そうだあくまで私は空気。そこら辺に転がる石とか空気とかと一緒。
そう思ったら外にいるのが間違いな気がしてきた。
いつどこで彼らに会うか分かったもんじゃない。
一旦家に帰るか……。
そう思い私は踵を返す。
と、
「おねーさんすごい格好だね!」
「すげぇーぞこのねーちゃん!杖持ってやがる!!」
「ローブも着てますよ!!ハリポタじゃないですか!!」
君達見覚えすごくあるね?
「お姉さん杖見せて!!」
「コスプレって言うやつだよなそれ!!」
「あ、コナン君!こっち来てくださいよー!」
「おいお前ら、あんまりうろちょろ……」
会っちゃったよー、一番危険な会いたくない人に会っちゃったよー……。
内心会いたくない人物ナンバースリーくらいには入るであろう高校生小学生が私の所へ近寄ってくる。やめるんだ止まれコナン君。
私は不自然さが出ないように子ども達に引っ張られてきたコナン君に声をかけようとした。
騎士団の能力……今見せる時……!!
そうだよ今思えば私騎士団所属で闇陣営に潜入したんじゃないか。
痛い俺様厨二蛇野郎だまくらかしたんじゃないか。
大丈夫私ならできる。
「あ……あ、」
と思ったのもつかの間、前の世界と比べて平和すぎたから自分まで平和ボケしたのか。
自分でも情けないくらいの声が出てしまった。
こうなると後の祭り。
高校生小学生に不思議な顔をされた。
「お姉さんどうしたの?」
「だだだだ大丈夫だよ…ちょっと気分が優れなくてて、え、あ、あ…」
「お姉さん大丈夫ー?」
「姉ちゃん顔真っ青だぞ!」
はい、無理矢理連行されました。
ちょおっと待とうか少年探偵団。
いややめて歩美ちゃんそんな目で見ないでかわいい。
そうしてコナン君以外の三人に連れ去られ、気づいたらポアロの店前にいました。
ちゃっかりコナン君もいるって言うね!?というか不味くない!?この状況非常に不味くないか!?
ポアロって!ポアロって!!!
会いたいけど会いたくないよ!!
だって日が日ならあの闇の組織の一員で公安で探り屋なバーボンだったり安室透だったり降谷零だったりする人がいるんだよ!?
あむサンド作ってるかもしれないんだよ!???!
「いや、あの君達、もうお姉さん大丈夫だからこの辺で」
「でもまだお姉さん顔色悪いよ?お茶でも飲んで休もうよ?」
こんの猫かぶりいぃいぃいい!!!
知ってるんだからな!?
中身は高校生って知ってるんだからな!?
見た目が小学生でも中身が高校生がきゃるんて!!顏コテンッてさせてもかわいくな、かわいいな!!!!
ちくしょう!!!
子ども達が、無慈悲に扉を開ける。
あぁ、私生きていけるかしら。
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