そしてぼくらは色付いた A

「……ごめん、お待たせ」
岩本「ん、お疲れ。皆呼んどいたから」
「ありがと」
マネージャー「早速だけど週刊誌見出しだけでも読んだ人どれだけいる?」

手を挙げたのはその場にいた全員。それぞれ此処に来るまでに何かしら目にしたらしい。……そんな広まってるんだ。

向井「でも、噂やろ?」
「……本当」
ラウール「えぇっ!?」
向井「えっ、え……、うそやん」

ラウールと康二が驚くのも無理はない。

「あ、ジャニーさんの隠し子ではないし、滝沢くんの彼女でもない、です。……でも、女なのは、本当」
目黒「そうなんだ」

目黒がぽつりと言葉をこぼす。その声に頷く私を横目に気まずそうに首を掻きながらふっかが小さく手を挙げた。

深澤「ごめんなんだけどさ、俺は奏多が女の子ってこと、前からなんとなく気付いてたよ」
宮舘「俺も」
阿部「……俺も、ちょっと」

どれだけ男らしく振舞っても、やっぱり全てを隠すのは難しいらしい。それに、ふっかたちとはもう8年以上の付き合いになるし。それだけの期間一緒にいたら、何かしら思うところがずっとあったのかもしれない。

「……そっか、ごめんね」
岩本「謝ることじゃなくない? 男でも女でも、ここまで俺たちと頑張ってきたのは奏多で、そのことに変わりはないんだから」
「……うん、ありがとう。でも、皆を騙してたことも紛れもない事実だよ。だから……、ごめんなさい」

沈黙が流れる。騙していたことは事実。自分で言っておきながらその言葉が重くのしかかる。ずっと嘘をついてきた。メンバーにも、事務所の仲間たちにも……。

渡辺「んで、どうすんの、これから」

先に言葉を発したのは翔太くんだった。
私の将来、そしてSnow Manの将来。
これからのこと、ちゃんと話さないといけない。

辞める。それがけじめだと、頭では理解してる。だけど、その一言が言い出せない。本当は辞めたくない。だけど、ジャニーズに残ることもきっと難しい。女として生きていく幸せを捨てる覚悟でずっと続けてきたのに。……隠し通せるものでもなかったけれど。

「……や、辞めようと、思ってる」
深澤「は?! それ本気?」
岩本「本気で奏多が辞めたいなら、俺達はそれを止めない。だけど、もし奏多にSnow Man続けてく覚悟があんなら、その選択も俺達は止めないし否定しないよ」
「それは……」
宮舘「まだ迷ってる?」
向井「俺は……辞めてほしくないんやけど……」
ラウール「そこはでも奏多くんが決めることだからね」
目黒「けど奏多くんは、もっと俺らのこと頼ってもいいんじゃない?」
渡辺「皆に迷惑がかかるーとか思ってんなよ」
阿部「何のために俺らがいるんだって、ね?」

皆の言葉に目の奥が熱くなって、視界が滲んで、泣きたくないのに涙が出る。情けなくて、こんな姿見せたくないのに。でも、こんな姿見せられるのも彼ら以外には他に想像もつかなくて。留めていた想いが溢れて、大粒の涙となって頬を伝い落ちていく。子供みたいにしゃくりあげながら泣く姿を見て、一番にその腕の中へと導き私を抱きしめたのはさっくんだった。

佐久間「……大丈夫、ひとりじゃないよ。俺達がついてる」

とんとんと一定のリズムで背を叩いて私を宥めるさっくん。何か言おうにも、声が涙に変わって溢れるばかりで。少ししてようやく微かに声を紡いだ。

「………く…ない」
佐久間「ん?」
「……ほんとは、やめ、たくない……ッ! ずっと……、皆と一緒にいたい……っ」
佐久間「んふふ。……大丈夫。ずっとずっと、そばにいてやんよ」

さっくんは優しく髪を撫でながら、私が落ち着くのを待ってくれた。周りにいた皆も、それを見守っていてくれて、私が顔を上げると、ふっと柔く笑ってくれた。

向井「美味しいとこ全部さっくんに持ってかれたわぁ」
深澤「んまぁ、今回はしゃーないね」
ラウール「しょっぴー、どしたのその顔」
渡辺「すげーブサイクな面してるやつがいっからそいつの真似」
目黒「似てないよ」
渡辺「は!? めっちゃ似てんだろ!?」

さっきまで真面目な話をしてたのに、一気に空気が明るく緩くなっていく。翔太くんのモノマネは本当に似てなかったと思うし、そんな会話に思わずくすっと笑ってしまう。

佐久間「にゃはは、やっと笑った」
「ふふ、うん。ありがとう」

私が笑ったのを見て安心したのか、さっくんもいつもみたいな満面の笑みを見せてくれた。

阿部「てか佐久間、いつまで奏多にくっついてんの」
目黒「あ、ホントだ」
佐久間「んはははっ! バレちった。もう佐久間さんいなくても大丈夫でやんすね〜?」
「ん、大丈夫。ありがとう、さっくん」
佐久間「お安い御用!」

抱きしめられていた腕がぱっと離れていく。急に開放されたことよりも、温もりが引いていく感覚の方が少し寂しく思えたなんて、今はまだ言えるわけもない。

岩本「これからもSnow Manは10人で活動してくってことで。異議ある人」

照くんの言葉に手を挙げる者はいなかった。満場一致で、今後の方針が決まる。Snow Manは10人でひとつ。誰かが欠けたらダメなんだ。そう胸に刻みつけた。
Snow Manとしての意向、自分の気持ちを伝える為、マネージャーさん同行のもと、また滝沢くんに話をした。彼は二つ返事で「大変かもしれないけど、奏多なら出来るよ」と返してくれた。


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