そしてぼくらは色付いた @
マネージャー「奏多……、ちょっと」
「……はい?」
マネージャーさんに呼び出され向かった先で待っていたのは滝沢くんだった。
「滝沢くん……あ、すみません、社長……」
滝沢「いいよ、別に。今日出た週刊誌のことなんだけど。とりあえずこれ、見てくれる?」
そう言って渡されたのは、私でも知ってるような有名な出版社の週刊誌だった。
【ジャニーズに隠された事実!東雲奏多は女だった!?】
太文字で強調された見出し、つらつらと描き連ねられた本文に言葉を失った。芸能関係者なんて濁した言葉で表された証言者が私のあることないこと語っている。女であることを隠しているのはジャニーさんの隠し子だからだとか、滝沢くんの本命彼女だからとか。あまりにも身勝手で、嘘で塗り固められた言葉の数々に頭が痛くなってきた。
「滝沢くん……これ……」
滝沢「ごめん。事前に差し止められなくて。……奏多にはこれから辛い思いをさせるかもしれない」
「……俺は、……私は……大丈夫です……。それより、メンバーのことが、気になって……」
滝沢「所属タレントへの取材はしないよう各社に釘は指しておいた。それだけで済むとは思わないけど……」
私のせいだ。私のせいで、皆に迷惑がかかる。これまでSnow Manで築いてきたものを、失う可能性だってなくはない。……東雲奏多を好きだと言ってくれたファンの皆にも、辛い思いをさせてることだろう。悔しさと歯痒さで奥歯を噛み締めることしか出来ずにいる自分が不甲斐ない。
滝沢「18時に今回の騒動についての文書を公表する予定だ。だからそれまでに、奏多はこれからどうしたいか、考えておいてくれ。それとメンバーともこれからのこと、話し合っておいてほしい」
「……はい」
滝沢「……どんな道を選んでも、俺はお前に力を貸すよ」
ぽんと私の頭を撫でて、滝沢くんは部屋を後にした。残された私はマネージャーさんに少しの間ひとりにしてもらうよう頼み、室内に閉じこもった。
……このまま性別を偽って仕事を続けても長続きしないように感じた。しかし、だからといって女としてSnow Manのメンバーで居続けることも、良しとはされないんじゃないか。ファンの子達はどんな想いであの記事を目にするんだろう。悲しむファンの姿を想像するだけで心が痛む。
「辞めたくないな……」
辞めることでけじめをつける。それが最適なんじゃないかって頭では思っているけど、"でも"とか"だけど"とか、打ち消すような接続詞が次々と浮かんでは消える。接続詞の後が続かないから……。
Snow Manとして、叶えたい夢がまだ沢山あるのに。いつか彼らが叶えてくれるとしても、その場に自分がいないのはとても寂しくて切なくて。メンバーとして、彼らの隣に立っていたい。ワガママな夢かもしれないけど、そんなことを願ってしまう。
「男だったら、こんなことなかったのに……」
深くため息をついて机に突っ伏した。電源を切り忘れたスマホが激しく鳴り始める。ちらと通知を見れば、どれもメンバー達からのもので少し困ってしまう。
『今どこにいんの?』って照くんからのLINEに返事をして、マネージャーさんと一緒に皆のところへと向かった。