彼女にかまかけてみた!?



「どーもー……! りょへ愛称チャンネルのりょーへーです。今日は、ドッキリ企画です。愛称にドッキリを仕掛けたいと思いますっ」

小声で挨拶を済ませて趣旨を説明する。今日は、愛称に「隠し事してるでしょ?」とかまをかけてみる企画。後でちゃんと甘やかしてあげるからね、ごめんねって先に心の中で謝っておく。隠しカメラを至る所に設置して彼女のことを待つ。

「ただいま〜」

彼女が帰ってきた。普段なら「おかえり〜」って笑顔で返すんだけど今日は静かめに「おかえり」と呟いた。

「愛称、ここ座ってくれる?」
「ん、どーかした?」

言われた通りに座る彼女に内心、いい子と思いながら「愛称隠し事してるでしょ?」と尋ねた。

「え……?」

驚いた顔をして彼女は黙り込んだ。本当に何かあったんだ。適当に言っただけだったのに。暫くして神妙な面持ちのまま、彼女は口を開いた。

「……もしかして、りょーへーのプリン、勝手に食べたの、バレてた?」
「え? ……あ! 本当だ! ない!」

冷蔵庫を確認すると、この間まであったはずのプリンが姿を消していた。

「いつ食べたの」
「一昨日……、夜中に甘いの食べたくなっちゃって……」

こんなことで怒ったり暴れたりしないんだけど、今日はそういう企画だからちょっとむすっとしてみる。

「それでね……。そのこと謝ろうと思って、その、新しいプリン、買ってきたの」

おずおずと差し出されたのは俺でも知ってるような有名な店のもので思わず「えっ」と声が洩れた。

「……勝手にプリン食べちゃってごめんなさい」
「ふふ、あははっ」

勢いよく頭を下げる愛称がいっそう愛おしく思えた。ひとしきり笑って「俺の方こそごめんなさい」と頭を下げる。

「何が? りょーへー謝ることないでしょ?」
「"隠し事してるでしょ"って、かまかけちゃったから」
「えっ」
「実は動画とってて。これ、愛称へのドッキリだったりします」
「ええ!?」
「俺の知らないすごい話が出てきたらどうしようかと思ったけど、可愛いので安心した」
「……プリンのこと、怒ってない?」
「怒ってないよ」
「よかったぁ……」

へにゃりと笑う彼女に「ごめんね」と再度手を合わせて謝罪する。動画を締めて、ソファにふたり並んで腰かける。

「プリン、食べてもいい?」
「ん! 私も食べる!」

仲直りのプリン食べましたって感じの写真を撮って、お互いにプリンに舌鼓をうつ。「美味しいね」って笑う名前が可愛くて、そっと顔を寄せる。プリン味のキスに、ふたり思わず顔を見合せて笑った。