「……大介くん?」
佐久間「あ、名前。んふふ、おはよ」
グレーのセットアップに身を包み、すらりと伸びた白い脚を大胆に見せる名前。黒のバケットハットがたまたま俺の被ってるそれと同じで嬉しくなった。
「バケハ、おそろいだね」
名前の口からそう言われたのが嬉しくて「うん!」と答える声が大きくなる。彼女もくすくすと笑っていて、それだけで凄く幸せ感じた。
佐久間「んじゃ行こっか」
小さい頃みたいに彼女の手を握りそうになってしまう。途中で留まれたからいいけど、手握ってるとこファンの子に見られたり撮られたりしたら大変だから。……てか、2人で出かけるのももしかしてやばかったかな。いやでも何もないし……。
「どこからまわる……?」
佐久間「上から!」
一番上のオンリーショップはまだ準備中で何も見れなかったからその下のオーディオコーナーへと向かう。名前の好きなマクロスシリーズのCDを見つけて「もう予約した?」って声を掛ける。
「完璧だよ。こっちはランカだけどタワレコはシェリルで、それも予約したよ〜」
佐久間「んははっ! さすが!」
「ふふ、大介くんだって自分の好きなのだったらこれくらい余裕でしょ?」
佐久間「んまぁねぇ。あ、これ!」
「これ、好き?」
佐久間「最近めっちゃハマってるやつ!」
「そうなんだ……! あ、これ、1話録画できなくて結局見れなかったやつだ……」
佐久間「え、そうなの? まじでやばいよ」
「大介くんがそう言うなら……ちょっと見てみようかなぁ」
佐久間「うん!」
ハマってるアニメを共有して、書籍のコーナーでは同じように漫画を共有した。キャラクターグッズのコーナーでは真剣な顔でトレーディンググッズを吟味する名前の横顔に見蕩れた。俺の嫁と幼なじみの共演。ふふ、やばすぎる。
日が沈む前に彼女を家まで送り届ければ家の前で大我に出会った。車から降りてきた大我が俺らを見て「えっ」と小さい声を上げた。
京本「名前? さっくん?」
「お兄ちゃん、ただいまー」
京本「おかえり。出掛けてたの?」
「うん、大介くんとアニメイト行ってきた!」
大我の前で見せる顔は女優のそれでも俺と一緒にいるときの幼なじみの顔でもなくて、妹のそれだった。いいな、大我が羨ましい。
京本「さっくん、今日はありがとう」
佐久間「え、あぁ、うん。全然! 俺も超楽しかったし」
「また遊んでね!」
子供みたいな柔らかい笑みに絆される。……胸の奥がきゅんってして、んで、ちょっとだけ大我に悪いなって思った。なんでだろ。「うん」と小さく頷いて家へと帰る。……今日実家泊まろうかな。