「しょっぴーってさ、ぶっちゃけ男装名くんのこと、どう思ってんの?」
「は? 別にどうも」
「んじゃ、いっか。俺、本気で男装名くん狙っちゃうから」
「は?」
唐突に目黒から宣戦布告を受けたのがつい1週間くらい前のこと。それからというもの、アイツは何かにつけて男装名にちょっかいを出すようになった。当の男装名はというと、佐久間との距離感に慣れてるせいか、目黒がいつもよりスキンシップ多めで接してきていても特に気にする様子もない。
「男装名くん、何してんの?」
「プリコネ」
「ふーん」
目黒が後ろから思いきりハグしてんのになんでアイツ反応薄いの? は? まじバグってんじゃねえの?
「男装名くん、明日って空いてる?」
「んー、空いてる」
「デートしよ」
「ん、いいけど」
「は? なんでだよ」
思わず声が漏れた。
目黒はそんな俺を見て笑ってた。
「どうしたの、翔太くん」
「何でもねーよ」
「なんかあったから声掛けたんでしょ?」
いや、つーかなんでこいつそんな他人事なわけ? デート誘われてんのお前だぞ? 俺が深くため息をつくと男装名は「え、なんで?」と不思議そうな顔で俺を見つめた。
「ちょっと来い」
「え、翔太くん? ちょっと待ってよ」
男装名の腕を引き、楽屋から飛び出した。人気のない物陰にこいつを連れ込み、自分の体と壁との間に男装名を閉じ込める。こうやって見たら男装名ってちょっとだけ小さいんだなって思った。
すっぽり収まってしまった彼女は、瞬きをしながら「翔太くん、変だよ」と呟いた。
「……お前のせいだよ」
「は? 人のせいにしないでよ。俺、何も……っ」
言葉よりも先に唇を触れさせた。名残惜しくそれを離せば、目の前には顔中真っ赤に染めた男装名がいて、謎の優越感を覚えた。
「お前さ、今どんな顔してっか分かってる?」
「……そういう、翔太くんこそ。耳まで真っ赤だよ」
言われて始めて気づいた。彼女と同じくらい俺の肌も熱を持っていたということに。
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「言いたいことあんだろ、言えよ」
「晩御飯、何食べる?」
「何なのお前。そうじゃねえよ」
「え、じゃあ何」
「……俺と付き合え、じゃねえや。付き合ってください」
「……え? あ、はい。……え?」
「なんだよ」
「いや……今更だなぁって」
「んだよ、あーもう!」
「え、だって……もう付き合ってると思ってたし」
「……は? あー、はぁ。こっち来い。ん、じゃあ俺以外見んな。それと……、大好き」