2020.03



Snow Manがデビューして数ヶ月。突然の報道に目を疑った。
『Snow Man 岩本照、一定期間の活動休止』
そんなタイトルと共に掲載された記事には過去に未成年と共に飲酒していた事実が記されていた。ページを閉じた直後、タイミング良いのか悪いのか、ひかるからLINEが届いた。

『ネットニュース見た?』
『見たよ』
『ごめん』
『なんで?』
『優陽のことも傷つけたと思ったから』

傷つかなかったわけではない。でも、私に傷つく資格があるかと聞かれると分からない。本当に辛いのは私じゃなくて、彼自身と彼の仲間と彼を応援してきたファンの方々だと思うから。どう返事をすればいいか悩んでいる間にスタッフさんが「加賀美さん、次出番です」と声を掛けてきた。スマホを片付けて足早に現場へ向かう。気持ち切り替えなきゃ。


***


撮影後、スマホを見れば数件の通知が光っていた。全部ひかるだ。……返事しなかったからだよね。

『ごめん、撮影呼ばれてた🙇‍♀️』

そう返してから、彼の返事が来るまでにはすごく時間がかかった。その間、何があったのかは私には分からない。いっそのこと面と向かって話して、思ってること全部聞いておきたいけど、今彼の家に行くのも、彼に来てもらうのもあまり得策じゃないように思えて頭を悩ませた。

『電話できる?』

家に帰ってからそうLINEを投げると少しして『できる』と返事が来た。すぐに電話をかければ「もしもし」と呟かれた声がいつもよりも弱々しくて胸が苦しくなった。

「ごめん、忙しいのに」
「ううん。私から声かけたし。私の方こそ、LINEの返事遅くなってごめんね」
「大丈夫。あの後ずっと嫌な方にばっかり考えててLINEしてた。……改めてだけど、今回のこと、本当にごめん」
「……あのさ、言いたくなかったらいいんだけど、相手の年齢本当に知らなかったの?」
「……うん。知らなかった。その日初めて会った子だったし」
「そっか」
「ごめん。でも今はそういう遊びしてないから」
「してたら別れてるから」
「本当にしてないから」
「ん、分かった。信じる」

それだけ話すと沈黙が流れた。沈黙を先に破ったのはひかるの方だった。

「怒ったりしないの?」
「え? 怒られたかったの?」
「……いや、そうじゃないけど」
「だって、私と付き合う前の話でしょ? 付き合ってる時ならともかく今の私に怒る理由ないよ」

それに散々、いろんな人から怒られたでしょ。そんな言葉は飲み込んで「私はひかるのこと怒んないよ。今回のことに関しては」と伝えた。ひかるはたぶん泣いてたんだと思う。鼻をすする音が聞こえて「ごめん、ありがとう」って、消えそうな声で呟いていた。


それから数ヶ月して、ひかるは無事に活動を再開した。テレビ局でたまたますれ違った時に「ひかるくんお久しぶりです。元気でした?」と尋ねれば「それなりに」って困った顔で笑われた。それだけ交わして手を振って別れて、控え室に入ってから『ちょっと痩せたんじゃない?』なんてお節介なLINEをした。他愛もないやりとりと共に、歌番組に参加した彼らの9人揃った姿に静かな感動を覚えた。