2020.07
「優陽ってさ、外だと俺のことひかるくんって呼ぶよね」
「うん。一応ね」
「あれなんか照れる」
「えー? だって、ちょっとしか共演してないのにひかるーなんて呼んでたらなんか思われそうじゃない?」
「そうかな?」
「誰が何思うか分かんないし、人は勝手なこと思って勝手なことを実際見てきたみたいに話すからさ」
何があったわけではないけど、この世界に長くいると、そう思うことが少なからずある。私は私の大切なものを壊されたくないから、それを守るためにできることはするつもり。
「そっか。でも俺、優陽に会ったら優陽って言っちゃうかも」
「そしたら、なーに? お兄ちゃんって返そうかな」
「お兄ちゃんガチャのときみたいにね」
「ねー。てかふっかさんとか今でも私のこと平気で呼び捨てにしてくるし、意外とバレないかも……?」
「え、まじ? てかそんなふっかに会ってんの?」
「たまーに?」
「聞いてないんだけど」
「いや、言うほどでもないかなって」
「どんな些細なことでもいいから教えてほしい」
「はーい」
そんなふうに彼が言うもんだから、この1週間でふっかさんとは1回、健人くんとは3回テレビ局ですれ違ったことを話した。そしたら「なんで俺は会えてないのに健人は3回もあってんの」って拗ね始めて力いっぱいに抱きしめられた。ちょっと痛いんだけど、まあ、彼の愛の重さってことで。