期待と不安
マネージャーさんに呼び出されて事を告げられたのはついさっきのこと。投げられた言葉に「はい?」と首を傾げた。
マネージャー「SixTONESの松村さんと主演でドラマと映画の仕事が来てます」
「松村って、松村北斗くん?」
マネージャー「はい」
「ドラマと映画? どっちも?」
マネージャー「そうです。えっと……、別作品で、どちらも恋愛ものですね」
「……えぇ」
マネージャー「嫌でした?」
「嫌じゃないけど、北斗くんはまだしもなんで私なのかって」
マネージャー「え? 東雲さん、真のドラマ班じゃないですか」
「え、何それ」
マネージャー「うちだと、ドラマは目黒さんがメインでって感じありますけど、負けず劣らず東雲さんも活躍してるじゃないですか」
熱弁するマネージャーさんの口は止まらない。マネージャーだからよいしょしてくれてるとかじゃなくて、彼自身が良いと思ったことをストレートに伝えてくれる言葉だから胸にじんとくるものがあった。
マネージャー「ドラマと映画で主演女優張ってるんですよ? 胸張ってやってきてくださいよ!」
「……うん、がんばる。……ちなみに、今回ヴァン様みたいな感じじゃないよね?」
マネージャー「大丈夫です!」
そう言って渡された2冊のコミックス。どちらも漫画原作の話らしい。ひとつは『わたしの執事がなびいてくれない』という、タイトル通り執事とお嬢様の関係性の恋愛もので、もうひとつは『口が裂けても君には』という口裂け女とその婚約者の話で、これがドラマになるらしい。片方は私が北斗くんのことを好きで、もう片方では北斗くんが私を好きになる。そんな役どころに若干既に混乱を覚えながらも、がんばると言った手前、今の自分が出来る精一杯を見せたいと思った。
マネージャー「楽しみにしてますね」
「うん、任せて」
マネージャー「メンバーの皆さんにも早めに報告してくださいね。というかこの後言いましょうね」
「……あ、うん。うーん……」
マネージャー「返事は短くお願いします」
「はい」
マネージャー「素晴らしいです」
ヴァン様とか、踏んだり、蹴ったり、愛したりとかのときを思い出したのか遠い目をした後、真剣に私を説得する彼に負け、この後の現場ですぐに9人にドラマと映画のことを報告した。
そして、その後、少クラの現場で北斗くんがメンバー及びSixTONESからも囲まれることになったのは言うまでもない。