ある日の向井くん

今日の仕事は上手くいかんかった。どうもギャグのキレが悪かったし滑ってばっかであかんかった……。モヤモヤばっかりが頭ん中にあって、自分1人じゃどうにもならんくて共用のリビングにおったら誰か来てくれんかなって思ったけど今日に限って皆おらんの。仕事なんか部屋におるんか分からんけど……。

「……あれ、康二何してんの?」
向井「奏依ちゃん……」

部屋から降りてきたのは奏依ちゃん。冷蔵庫から水を取り出して俺の隣に座った。

「何かあった?」
向井「奏依ちゃぁん……っ」

急に優しくされて涙腺が緩んでしまう。彼女はぽんぽんと自身の膝を叩いて「おいで?」と言ってくれた。奏依ちゃんに膝枕してもらいながら、ぽつぽつと愚痴をこぼす。奏依ちゃんは嫌な顔ひとつせずに俺の話を聞いてくれた。

「そういう日もあるよ」
向井「ん……」

髪を梳きながら時々よしよしと撫でてくれる。腰に縋って抱きついたら、彼女は少し笑って「今日、一緒に寝る?」と声をかけてくれた。

向井「……ええの?」
「うん。……1人の方が良かった?」
向井「いや! 全然! 一緒がいい、一緒やないとやだ!」

奏依ちゃんが離れんようにぎゅうって抱きしめたら「分かった分かった」って笑われた。今日は奏依ちゃんの部屋にお泊まり。俺と奏依ちゃんの間にはシナモンがおるけど、奏依ちゃんがシナモンごと俺のこと抱きしめてくれたおかげでその日はぐっすり眠れた。