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02

放課後、私は司君と一緒にレッスン室へ向かっていた。一抹の不安を抱えて。


「今日お姉さまがお菓子を用意してくれてるらしいですよ。Lessonが終わったら食べましょうと」
「え、ホントですか!?わぁ、楽しみ!」


そういえば今日はまだあんず先輩に抱きついてないなぁ。あんず先輩は私と違って有能だからお昼とかもレッスンに付き合ってたり、ステージの構想を練ってたりしてて忙しそうだもんな。


「司君、望月もやっぱりお菓子作りから始めればいいのかな?」
「話が見えないですけど、お菓子作りがPointでは無いと思いますよ?」


魔法少女的にはお菓子作りぐらい出来なきゃ女子力が足りないと思うんだけどな。私には魔法がまだ上手く使えないからプロデュースも上手く出来ないんだ。だからたくさんあんず先輩の魔法を見て勉強するんだ。だからお菓子作りも見習わなきゃ。今日帰ったらクッキーでも作ってみようかな…。


「リンは見習いです。だからまだ上手く出来なくて当たり前ですよ。これから一緒に頑張りましょう!」
「司君…!望月リン、頑張ります!!」


司君に励ましてもらいながら歩いているともうレッスン室のドアが目の前にあって、紳士な司君が引いてドアを開けてくれたのだが、ドアが開いたと同時に何かが私に向かって飛んで来て暖かい何かが私を包んだ。視界にブレザーが入ったので多分人であることは分かるが、如何せん突然過ぎて頭が働かない。


「え、え?あれ?」
「ん?誰だこいつ?」
「ちょっ、Leade!!誰かもわからないのに抱きつかないでください!!」


この抱きついて来ている人がどうやら司君の悩みの原因らしいが、無理です。私にはどうすることも出来ないです。彼が離れた瞬間に見えたあんず先輩の方にダッシュで向かいその後ろに隠れる。あの人危ない。


「あんず先輩、危険です。望月が守ってあげます!」
「リンちゃん、あんずちゃんに隠れてたらあんずちゃんを守れないわよ」
「その時は嵐先輩が守ってください…!」


優しいあんず先輩は苦笑を浮かべながらも私の頭を撫でてくれた。問題の彼は、もう私に興味が無いのか床に広げた紙に何かを書いているみたいだけどここからじゃ彼の背中しか見えない。乙女に抱きついておきながら、その態度は少しばかり失礼だと思う。背中を睨みつけて頬を膨らませていると、あんず先輩がトントンと肩を叩いて来たので観察をやめてあんず先輩を見る。


「彼はKnightsのリーダーの月永レオさんっていうの。一応自己紹介してみる?」
「むー、あんず先輩がもっかい頭撫でてくれるなら……」


再び頭を撫でてもらっても彼に植え付けられた苦手意識が消えるわけもなく、だけど撫でてくれたら挨拶に行くと言ってしまった手前渋々彼の方へ近づくと、彼が何を夢中で書き留めてるのか見えて来た。カラフルな五線譜に音符を書いている所を見ても、彼は作曲しているんだろう。


「(変な人……)あ、あの…」
「今は待って。あと少し」


さすがに作曲の邪魔は出来ないから、言われた通りに彼の言う少しを待つ事にした。



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