♭ 遣らずの雨


 俺の真上から降り続く雨は、未だ止むことがない。すっかり水を吸いきった服は、ぽたぽたと雫を零しながら、俺の体に重たく縋り付く。
 雨が止む頃には、こちらが先に力尽きているかもしれない。
 それでも、俺の元に駆け寄って、傘を傾けてくれる人が居る。少し小さな傘だけれど、二人寄り添って入れば、その間だけは雨を凌ぐことができる。

 耳元にへばりついた耳鳴りも、ドクドクと五月蠅い動悸も、いつの間にかすっかり聞こえなくなっていた。
 しかし、あの日のこと、血だらけで横たわる姉さんのことを忘れることなんて出来ない。
 そして、姉さんを守れなかった自分を許すことなんて、この先一生できないだろう。

 けれど、それすら一緒に抱えてくれる人が側に居る。
 それだけで、この先も生きていけると思った。