♯ 卯の花腐し
ずっと、雨が降っている。
雨は決して止むことなく、俺と姉さんの体に降り注ぐ。
あの日からずっと、俺の中の時間は止まったままだ。
頭中を駆け巡るような耳鳴りが止まない。ドクドクと全身に鳴り響く動悸がうるさい。
ただ呼吸をするだけでも苦しくて、胸が張り裂けそうで、どこかへ消えてしまいたい。
すべて手放してしまえば、なんて思ったけれど、姉さんとの綺麗な思い出すべて、手放せるはずもなかった。
俺は、俺のすべてを奪った、あいつらが憎くてたまらない。
体中を搔きむしる。ピリピリとした痛みが走る。こんなもの、こんな痛みどうってことない。
このまま姉さんがもう帰ってこないことなんて考えることができない。あの光景を思い出すたび、胸が押しつぶされるようにキュウキュウと締め付けられ、体の奥底から何かがこみ上げてくる。
何も出来ない、弱虫な自分が嫌いでたまらない。