どうか貴方が地獄に落ちますように
好きになったのが同性であることは、実は特に珍しいことではない。一生を賭してでも狂っていたいと思うようなのは、まあ、珍しいかもしれなかったけれど。どうせ俺の方なんか見ない、と思っていたのに。
「視線が、重い」
尾形は言う。
「言いたいことがあるならはっきり言え」
じとり、と。威嚇するような視線が此方を見ている。どうしようもなく、俺を、敵として認識している。
「…言いたいことは、特にない」
「それにしてはよく見るじゃねえか」
「気に食わないのなら気を付ける」
「そうじゃない」
そうじゃ、ない、なんて。
「久我原、」
ああ、俺の名前を知っていたのか、と思ってしまう。尾形は俺なんかには興味がないのだと思っていたから。
「久我原白水」
「なまえ、」
「俺のも呼んでみろ」
「尾形」
「同じように」
「尾形百之助」
「………うん」
何をさせたいのかは分からなかったけれど、これから尾形がどうしていきたいのかは分かった。
「尾形」
「うん」
「尾形百之助」
「うん」
「俺は、お前に、」
―――今、
祈ること以外に何が出来る?
「言いたいことなど、一つもない」
たった一つ、尾形が名前を置いていくと言うのなら、きっともう、それで充分と思うべきだった。
*
(これはぼくらの呪い)
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