「…ん、」


薄らと音楽が聞こえた気がしたのと同時に、瞼超しにチカチカと眩しさを感じて眼を開けると、徐々に部屋の姿を取り戻していくのが写った。
意識を失っていったあの時、確かに部屋も自分の存在も消えていくのを感じたのに。
それが何事もなかったかの様に戻っていく感覚が、酷く不思議で不自然に感じた。

…そうだ。あの時、全身血の塊と化してジャスデビと戦っていたアレイスターはどうなったんだろうか。
確認したくとも、右腕と左脚が曲がってはいけない方向に曲がっているのを筆頭に、全身を傷付けられ、痛んで首すらも動かせない状況で。
今は辛うじて声が出せる程度だ。

「アレイスター?」
「……」
「…駄目か」

そりゃあそうか。あんなにハードな…というか、規格外、否、想定外の戦いをしたんだ。すぐに眼が覚める事はないだろう。

(……それにしても、イノセンスの反応が今までとは違いすぎる)

アレンに続き、リナリーやアレイスター達のイノセンスまでもが、彼等を護るような反応を示した。
イノセンスがエクソシストの危機に対して、あんな特異な反応をしたなんて、教団が所有しているどの歴史の著書にも記載されていなかった事だ。

(歴史を覆そうとしている?)

イノセンスが過去の経験を経て学び、本来のやり方を変えようとしている?
有り得なくはない話だけれど…。

(何で、"今"なのか…)

そこで思考は途切れた。扉の開いた音がしたのだ。
ノア…では無いな、彼等はこの方舟を捨て去った訳だし。考えられるのは、

「……」
「あ、神田か」
「チッ、死んでなかったのか」
「滅多なこと言うもんじゃないよ」

わざわざ人の顔を覗くような事しておいて何を言うか。むしろ私達が生きていた事を喜ぶべきだろう。神田はそんな人間じゃないけど。
あ〜ぁ、身体が言う事を聞いていたら一発殴っていたところだよ、神田君。

「つぅか、その格好すげえな」
「皆まで言うな。というかそう思うなら正常な方向に直してくんない?その後でアレイスター拾って先行ってよ」
「手前はどうすんだよ」
「暫く此処でボケッとしてる」
「…チッ」

私の申し出に舌打ちを一つ。
嫌そうな顔するけど、しっかり実行してくれる君が好きだよ。なんつって。

……まぁ嫌味かってくらい容赦なく腕と脚戻しやがって痛かったけどね!完治したら覚えてろよ!



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