「夏休みまでそろそろ1か月半切りましたが、夏休み前には今年度の候補生認定試験があります。
候補生に上がるとより専門的な実践訓練が待っているため試験はそう容易くはありません」
祓魔塾教室の教壇で、雪男がプリントを片手にかかげて認定試験について告げた。
教室の隅では、むつきがにこやかに笑いながら立っている。
燐は候補生という言葉の意味が分からないようで、隣に座っているしえみに質問していた。
「エスクワイヤ?」
「エクスワイアだよ」
「エスクワイア!?」
教えてもらっても言えてない燐は置いといて(一番前に座っているから嫌でも会話が聞こえてくる)、雪男は話を続けていく。
「…そこで来週から一週間、試験のための強化合宿を行います」
(合宿…!?)
「合宿参加するかしないかと…取得希望"称号"をこの用紙に記入して、月曜までに提出して下さい」
と、こうして候補生認定試験のための合宿が開始されることになった。
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用紙提出の締め切りである月曜日、全員が参加する方に印を付け雪男が合宿場所を告げた。
そして合宿当日、合宿を行う建物までむつきが案内をするということになり、一旦学校の前に集合して件の建物である燐と雪男の住む男子寮へ談笑しながら向かった。
建物に着くや否や、その廃墟具合に小さく非難の声が上がる。
「うわ、なんやコレ。幽霊ホテルみたいや!」
「おはようございます」
非難の声も爽やかに無視して挨拶をする雪男。
その後方では出雲も非難の声を上げつつ、しえみに自身が持っていた鞄を渡した。
「ヤダなにココ気味悪〜い!…もうちょっとマシなとこないの?あ、コレお願い」
「うん」
「………!!も、杜山さん!嫌なら嫌って言わないと…!」
「朴さん!私、嫌じゃないよ!」
「え?」
「お友達の役に立ってるんだもん」
「……そっ……か」
二人を見かねた朔子がしえみに緩く咎めてみるが、しえみは気にも止めていないようで。
気乗りしないもののしえみ本人がそういうなら…と、朔子は口を噤んでしまった。
その様子を燐が何とも言えない顔で見ているとも知らずに…。
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