敵であるはずの一護の口から思いもよらない言葉が出、ウルキオラは目を見開いて一護を見た。だが、視線はすぐに逸らされる。

「―――ちっ…。…最後まで…思い通りにならん奴だ……」

どういった思いを含んでその言葉を呟いたのかは分からないが、一護から逸らした視線は織姫に注がれた。

「…ようやくお前達に少し興味が出てきたところだったんだがな」

はっきりとした口調だったが、織姫からの返答は無い。
彼女はただ何も言わず、悲しみの色を含んだ目でウルキオラを見るだけだった。

「…俺が怖いか、女」

その言葉に織姫は一瞬驚きを見せたが、すぐに元に戻る。その目から涙が溜まっていき、そのせいで自然と目は細くなった。そして、静かに口を開いた。

「こわくないよ」

織姫の口調はとても穏やかで、その言葉はウルキオラの胸に響いた。

「そうか」

織姫との少ない会話を終わらせると、次に萌苗へと視線を移す。萌苗の瞳には今にも零れ落ちてしまいそうなほど涙が溜まっている。

「萌苗」
「ウルキオラ……」
「…すまない」
「っ!嫌だっ、行かないで…ウルキオラ…!」

謝罪の言葉と共に、ウルキオラの手がゆっくりと頬に伸ばされた。震える声と共に落ちる涙。それを拭わんと涙に触れた瞬間に、一瞬でウルキオラは砂と化し……消えた。

萌苗は、暫く現状を受け入れられずにいた。今さっきまで目の前に居た人物が急に消えた。それを視覚で受け入れ、脳でそれがどういう意味を示すのかを理解した瞬間、叫び声に近い泣き声を上げて、萌苗は崩れ落ちた。
涙で目の前が捉えられない中で、ウルキオラだった砂の中に手を置くと、反動でたくさんの涙の粒が染み込んでいく。

「…嫌だ……何でよ…。ずっと、一緒に居てくれるって…言ったじゃない……!!」

―行かないで、欲しかった。消えてしまうくらいなら…戦わないで、欲しかった−
−…違う、違うの。本当はこんな事が言いたかったんじゃない、駄々をこねたかった訳でもないの。今までずっと一緒に居てくれてありがとうって、弱くてごめんなさいって、私の代わりに戦ってくれてありがとうって、もっと色んなことを話したかったって……たくさん言いたい事があったのに…−
−どうして、こんな事になっちゃったの?−
−全部私のせいなの?−
−それとも全部…あの子のせい…?−

−何で、どうしてどうしてどうしてどうして…―

悲しみと共に、じわじわと黒い感情が萌苗を包み込んでいく。
そんな事など感じ取れるはずもなく、一護達はただ無言で、泣き崩れたままの萌苗の背中を見つめていた……。





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