「!!!」
「なにが"現実から逃げるな"よ!"俺に言いたい事があるならちゃんと言ってくれ"よ!今までそうしてきたのに、聞かなかったのはそっちじゃない!!」
「じゃあ聞くけど、朽木さんと帰るって行った日に私が「嫌だ」って駄々こねたら一緒に帰ってくれてたの?大怪我したあの日にもっと深く問い詰めたら答えてくれた?隠してること全部話してって言ったら最後まで話してくれた!?私がずっと一緒に居たいって言ったら傍に居てくれたわけ!!?」
「…もし私が、今…、ウルキオラを生き返らせてって…、織姫を消してって…言ったら………」
「……萌苗…」

息付く暇なく萌苗は一護にまくし立て、そのせいか自然と語尾が強くなっていった。だが、言いたい事を言って感情がピークに達したせいか最後の方には涙が溜まっていき、最後には言葉を詰まらせ腕で顔を覆ってしまう。
その際、自分の身体を押さえていた萌苗の力が緩んだのを感じ、胸の痛みを感じながら一護はゆっくり上半身を起こした。
起き上がった一護に驚く素振りのない萌苗をゆっくりと抱きしめると、自然と萌苗は一護の肩に顔を預ける形になり、それがますます萌苗の涙腺を刺激する。

「…なんで…ウルキオラを…みんなを……。ウルキオラは…みんなは、何も酷い事してないのに…。ずっと私を、助けてくれたのに……」
「……」
「ずっと、ずっと寂しかった…。一護が急によそよそしくなって、他の人達とばっかり仲良くなって……。ケイゴ達と一緒に居ても、一人になった気がした……」
「…、悪い」
「……嫌いよ。一護なんか、嫌い…」

「ごめん……な」
「…嫌い、なのに…やっぱり私、一護が好き……好き、なの……」
「!……ああ、俺も…お前が好きだ」

萌苗の涙で自分の肩が濡れていく。
嗚咽混じりに言葉を紡ぐ萌苗に、一護は力強く抱きしめた。
嫌いだと言われても、抱きしめているこの体温が、今は酷く愛おしい。
萌苗に感化されて、自分も涙が出そうになる。
「離れてからはじめてその人を大切だと気付く」とどこかで聞いた事があるその言葉に、正にその通りだとも思った。

次第に大人しくなっていく萌苗に一護が心の隅で安堵し、この先どうやって萌苗を此処から連れ出そうか、裏原さんに頼んだら萌苗は元の姿に戻れるだろうかなどと色々考えていると、不意に力が緩んでいたしがらみを振りほどくように萌苗が腕を伸ばし、一護と距離を取った。
不思議に思う一護を置いて、泣きはらして赤くなった眼をそのままに、萌苗は一護の先にある光景を見つめ、口を開く。

「……行かなくちゃ」
「え?」
「藍染さんが呼んでる」

ゆっくりと立ち上がり、地面に突き刺さっていた剣を抜き取る萌苗。
はじめは萌苗の言葉に呆然としていた一護だったが、どんどん距離が離れていく事に気付くと急いで立ち上がった。

「待て、萌苗!」
「待たないよ。藍染さんは今すぐ来いって言ってた。…彼の言葉は絶対だもの、行かなくちゃ」
「なら、一緒に行けば良いだろ!俺達の手で藍染を…!!」
「…ありがとう一護。さよなら」
「萌苗!!!」

一護の言葉に悲しみを含んだ笑みで答え、萌苗は再び三人の前から姿を消した。




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