ウルキオラを見ていた織姫の瞳は、私に縋る様に向けられた。私は何も言わず織姫に近寄り、手にある物を静かに乗せる。

「…?」
「それを渡しておく。それを身につけている間お前の周囲には特殊な霊膜が張られ、お前の存在は我々 破面にしか認識できなくなる。それと同時にお前は物質を透過する能力を手に入れる。身につけて放すな」

織姫の顔はとても哀しそうで、可哀相だったから、いてもたってもいられなくなって帰ろうとしていたウルキオラの裾を掴んで、呼び止めてしまった。

「ねぇ、ウルキオラ」
「…なんだ。喋るなと言ったはずだが」
「ごめん…。でもこのまま織姫をこちら側へ引き寄せても、きっと織姫は現世に居る皆の事で頭がいっぱいで何の役にも立たないと思って…」

私は何を弁護しているんだろう…と思いながらも、縋る様な瞳でウルキオラを見つめてしまった。すると珍しく、ウルキオラが溜息を吐いた。

「…十二時間の猶予をやる。その間に一人のみ別れを告げることを許可する。但し 相手に気付かれればその時点で命令違反と見做す。
「刻限は零時。それまでに全て片付けて指示した場所に来い」

「忘れるな。別れを告げていいのは

一人だけだ」

そのまま足を進め始めるウルキオラに、私は織姫を一瞥してそそくさと後を付いて行った。




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