一護の凜とした立ち姿、その瞳には決意の色が伺える。その一護の姿に只一人、藍染だけは鈍色の不機嫌さを表すように眼を細めた。

「…黒崎一護、君は本当に黒崎一護か?」

藍染が問うても一護は応える事なく、ただ静かに、藍染の後ろで倒れているギンと、ギン庇うように覆い涙を流す乱菊を暫く見ていた。

「…どういう意味だ?」
「本当に黒崎一護なら、落胆した。今の君からは霊圧を全く感じない。霊圧を抑えていたとしても、全く感じない事などあり得ない。
君は進化に失敗した。
私の与えた最後の機会を君は取り零したのだ」

藍染に何と言われようと、一護の瞳は揺らぐ事無く強い光を放っている。
掠れいく意識の中で、ギンはその一護の姿を捉えた。
乱菊の身体超しに見る、あの時自身が逃げろと言った時に見せた弱さと違う一護の瞳を見て、ギンは確信した。

−ああ、強い眼になった。良かった、今のキミになら−

−任せて  いける−

唐突に、藍染が一護に向けて手を差し出した。

「――残念だ、黒崎」
「藍染」

藍染の言葉を遮るように、一護は藍染の名を呼ぶ。藍染は特に表情を崩す事なく、言葉の続きを待った。

「場所を移そうぜ。空座町では俺は戦いたくねえ」
「…無意味な提案だな。そ れ は 私 と 戦 う 事 の で き る 力 を 持 つ 者 の み が 口に出来る言葉だ。案ずる事は無い。空座町が破壊される迄も無く君は――――」

そこで藍染の言葉は途切れた。いつの間にか眼前に迫っていた一護の左手に顔を掴まれ、そのまま後方に飛ばされていた。

「な………に……!?」

藍染が驚愕の声を漏らしたその時、顔を掴んでいた手に力が入り藍染を地面に叩きつけた。
周囲に砂煙が上がる中、藍染は自身の手で顔を覆い、想像し得ていなかった状況に混乱していた。

「…馬鹿な……、私が…力だけで……」

そう呟いている間に一護は地面に着地し、藍染との距離を詰めていく。気配に気付いた藍染は、顔から手を放し一護を睨んだ。

「…始めようぜ、藍染」

「一瞬で終わらせてやる」




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