萌苗は現世へ着いてまず、織姫の霊圧を探った。
最初は遠くからでも伝わってくる一護の霊圧で分かりにくかったけれど、そのうちじわじわと、後を追う様に織姫の霊圧が伝わってきた。
「…結局そこに行くんだね、織姫…」
たつきの所でも、誰の所でもなく、彼の元へ……。
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私は出来るだけ気配と霊圧を殺して、一護の家に近付いた。
一護の部屋の壁に寄掛かり、夜空を見上げながら中の様子を聞いていた。中では静かに織姫が一護に話し掛けている途中だった。
「…そうだよね、ずっと黒崎くん居なくて淋しかったもんね…。黒崎くんの部屋で一緒に、ごはん食べたいよね…。」
「黒崎くんの…へ…や…」
そう言ったまま何秒かの沈黙が流れた。織姫は今何をしてるんだろう?そうは思えど、何故か怖くて部屋の中を覗く事が出来なかった。
「…ダメだ…。やっぱりできないや…」
その言葉を聞いて、織姫が何をしようとしたのか、少しばかり検討が付いてしまった。
さっきの不思議な恐怖感は、多分どこかでソレを予想していたから。
「…えへ…。ダメだねあたし…、最後なのにこんなことして…」
「……」
「…黒崎くん あたしね…したいこと いっぱいあったんだぁ…。学校の先生になりたいし…宇宙飛行士にもなりたいし…ケーキ屋さんにもなりたいし…ミスドに行って「ぜんぶください!」って言いたいし…サーティワンにも行って「ぜんぶください!」って言いたかったし…。」
「あ〜〜〜〜〜〜あ!人生が五回くらいあったらなあ!」
「そしたらあたし、五回とも違う町に生まれて、五回とも違うもの おなかいっぱい食べて、五回とも違う仕事して…、それで五回とも…同じ人を好きになる」
「…ありがとう、黒崎くん」
「さよなら」
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