「萌苗っ!!!」
「萌苗ちゃん!」
「萌苗サマ…!」
「グリムジョー てめぇ…!」
「何だよ?本気にさせてやるって言っただろ。それに先に仕掛けてきたのはあっちだ。文句言われる筋合いはねぇよ」

二人が強く呼びかけても萌苗が起き上がる気配はなく、一護からは冷や汗が流れる。グリムジョーは気にする様子もなく萌苗を眺めていた。

「井上 頼む…!」
「うん!」
「治療なら…いらない、よ」
「「!!」」

強い口調と共に何事も無かったかのように立ち上がった萌苗に二人は驚き、反対にグリムジョーはバツが悪そうな顔をした。
萌苗は立ち上がると服についたホコリを払い一護達に向き直る。先ほど切られたはずの胸元は切れた服と血の色のみを残し 傷口は綺麗に塞がれていた。

「な、んで…」
「分かるでしょ?私の身体はもう普通じゃないの。さっきのはビックリしたから暫く喋れなくなっただけ」
「…それにしても、そっか……うん」

一護の問いに答えたあと、一人問答をして納得をした萌苗に三人は付いていけない。

一人、グリムジョーが萌苗に近寄っていくのを見て、再び攻撃をするのかと思った一護だったが、グリムジョーが萌苗に耳打ちだけをしすぐに距離を取ったため特に行動を起こす事はなかった。
耳打ちをされた萌苗は眉を寄せながらも自分に背を向けたグリムジョーに向かい、両手を伸ばすと白い光がグリムジョーを包み込む。
この光を一護は見たことがあった……。それは卯乃花隊長が使っていた 回復系の鬼道の光。こんなことまで出来るようになったのか と思っている間にも、グリムジョーの傷は癒やされ元の綺麗な腕に戻っていく。

「……出来たよ」

ムス、とむくれた萌苗への感謝の言葉なんぞ言う訳もなく、グリムジョーは自分の見える範囲で傷口を確認した。傷は綺麗に治っている。その頃には、ちょうど一護の傷も完全に治っている頃だった。

「サンキュー井上」
「ううん、気にしないで」

言葉を交わし笑い合う二人を見た萌苗は、胸がツキンと痛む感覚を覚える。

忘れたはずだった、気持ち。

一護達に会ったことによって蘇っていく気持ちに、萌苗は今すぐにでも蓋をして開かないようにきつく縛ってしまいたい衝動に駆られた。

(今更 こんな気持ちが蘇ったって…、私はもう……)

その先の事を考えた萌苗は、キュッと傷の塞がった肌を掴むように拳を握った。
そして、同時に想うことは……。

「…邪魔が入っちまったが、殺し合い再開といこうじゃねぇか」
「……あぁ」
「……」




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