ひらいた距離を縮めるべく、一護は空を蹴り一太刀を浴びせるが、グリムジョーは左腕で刃を受け止める。しかし、下から受け止めたため重力に逆らえず押され、苦しそうな声を漏らした後、今の自分の体勢に劣勢と感じるや否や、一護の右脇に蹴りを入れ再び距離をとり、その勢いに上乗せさせるように身体を回転させ、回し蹴りを浴びせようとするがそれを避けられてしまう。
一護がすぐさま反撃すべく刀を引くのをグリムジョーは見過ごさず、己の尻尾を使い頭部への打撃を喰らわせ地面に衝突させた後、不適な笑みを浮かべながら速度を上げ一直線に下に向かう。しかし、砂煙の中から刃独特の光が見えたグリムジョーは、空中で防御の姿勢を整え衝撃に備える。腕に刃先が食い込み、そのまますれ違いグリムジョーが地面に足を着けば、互いに同じタイミングで身体を反転させ、力をぶつけ合う。ぶつかり合った衝撃は凄まじく、周囲には砂が立ち上がり、二人の姿を見えなくさせる。それでも、辛うじて三人の目に入り、中でも織姫は今までの光景を目を見開きながら眺め、譫言のように言葉を発した。
「…… …………黒崎くん…?…あれは本当に…黒崎くんなの…?」
今目にしている光景を嘘だと言いたいというような織姫の視線に、萌苗は眉を顰めずにはいられない。
その時、グリムジョーが肘から鋭い形状の何かを発射させた。一護は素早くそれを避けるが、自分の後ろに織姫達が居るのに気付くと急いで敵に背を向け、結界を張らせたにも関わらずその攻撃を背中で防いだ。
「い…いちご…!」
「…黒……崎……くん…」
ネルが焦り、織姫がまるで本人であるかを確認するかのように一護の名を呼んだ。その声に反応し、無事である事を確認するように顔を上げ、二人の眼が合う。
眼が合った瞬間、織姫はこれでまかというほどに先ほどより眼を見開き、恐れの色を隠せずにいた。それを見た一護の瞳は一瞬曇ったが、すぐにネルと萌苗に視線を移す。
ネルは相変わらず不安の色を隠す事無く、萌苗は冷ややかなような無感情な眼差しで、自分を見つめている。反応はそれぞれだが無事な事を確認すると、一護は再びグリムジョーとの戦いへ戻っていく。
一護が自分達から離れた瞬間、眼が合った時に止まっていたかのような心臓が、再び動き出した錯覚を覚えていた。
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