ウルキオラは一護の名を呼んだあと、踵を返しやっくりと織姫に向かって進む。ウルキオラに付いていくべきか迷ったけれど、彼に名前を呼ばれてしまい仕方なく付いていくことにした。

「怖いか」

そうウルキオラに問われた織姫は、悲しげな表情を浮かべたまま何も言わない。

「お前は藍染様に不要とされた、最早お前を守るものは何も無い。」
「終わりだ。お前は此処で誰にも触れられる事無くたった一人で死んでゆく」

言葉を紡ぎ続けるウルキオラ。
しかし、尚も織姫は何の表情も見せることも、言葉を発する事もない。

「恐ろしいかと、聞いている」

それでも尚、ウルキオラは言葉を発すると、落ち着いた表情でゆっくりと織姫は言葉を返した。

「こわくないよ。みんなが助けに来てくれたから。あたしの心はもう、みんなと同じ処にあるから―――」
「仲間が来たから恐怖は無い?そんな言葉を本気で言っているのか?」
「はい。…最初に助けに来てくれたことを聞いたときは少し嬉しくて、すごく悲しかった。あたしはみんなを護りたくてここへ来たのに、どうしてみんな来ちゃったんだろう、なんで伝わらないんだろう・って思った」
「でも、朽木さんの倒れる姿を感じて、黒崎くんの戦う姿を見て、そんなことどうでもいい・って思った。ただ黒崎くんにケガしてほしくなくて、ただ、みんなに無事でいてほしくて、そう思ったとき気がついたの」
「ああ、きっとみんなもこういう気持ちだったんだ・って」
「あの中の誰かが、もしあたしと同じに消えてしまったら、あたしもきっとみんなと同じことをする―――」

織姫の言葉を聞いて何故、そんな事を簡単に口にしてしまえるのだろう。と萌苗は思った。

ルキアを救う為に特殊な能力を得て、一護達と苦楽を共にしたからだろうか?
自分が捕らわれて、ルキアと同じ気持ちを味わったとでも言うのか?
どちらにせよ、本当に相手の気持ちが分かるうえに、同じ事を感じるなんてありえない。
それはずっと一緒にいた訳でもなく、苦楽を共にした訳でもなく、急に連れ去られ一人になってしまった萌苗には分からない感情だった。

「…そう。相手と全く同じことを感じるなんてありえないかもしれない。だけど、相手を大切に想い合って相手の少し近くに心を置くことはできる。心を一つにするって、きっとそういうこと」

萌苗の考えを読み取ったかのように、織姫は顔を軽く俯かせ、穏やかな表情を見せて話す。織姫の言葉を聞いたウルキオラは、一瞬の間を置いた。




- 98 -



ココロ

top
ALICE+