2




ここはアメリカ、ノースカロライナ州ローリー。
田舎ではない。そこそこ都会である。


私は代々中東の石油を所持し管理してきた由緒正しきお家のロックフィラー家の5代目当主の次女だ。


世に言うセレブであるのだけれど特に何か自慢できることなんて一つもない。


私には不思議な力がある。



それは3歳の時に初めて現れた。
割れたグラスで手を切ってしまった時自分で舐めてその傷を治したらしい。
結構な出血と結構な傷だったのにもかかわらずひと舐めしただけで治してしまった。


それは自分だけでなく他の人にもできるとわかった時、父は大変気味が悪かったようで地下の部屋に私を閉じ込めてしまった。


それ以来約十何年、私が日の光を浴びたのは両手で数えられる程の日しかないのである。


私には姉がいる。姉が婿を取り家を継ぐので私には特に用がなかったのではないだろう


別に、「部屋を出てはいけないよ」としか言われていないので
虐待やら嫌がらせは受けていない


私はついこの間までヒーローというものを履き違えていたらしい。


ヒーローとは金髪で白いスーツを着て白い馬に乗ってティアラを乗せたお姫様を迎えに来るものだと思っていた。


「バカ言え。それはオオジサマの間違いだ」


私をたるのように担ぎ上げた青年がそういった。


オオジサマ??


遠い昔に絵本で読んだ気がする。