ロウ 人に出会う
第一章 出会いと別れ 



上を見上げれば、一面の青
足元を見れば、地平線まで続く緑

ロウはある大草原に降り立ちました


知らないセカイにココロがワクワクします

あれは何色なんだろう?
あの空にある光はなんだろう?
どんな人たちが暮らしているんだろう?

ワクワクがとまりません


ロウはトコトコと歩きはじめました

広大な大地をトコトコ、トコトコ
雄大な山をてくてく、てくてく

歩けば歩くほどいろんなものに触れました

足裏に感じる大地の温もり
優しくほほをなでる風
花の香り、土の匂い

何も考えず、ひたすらに歩きます

ただ、ただ歩くだけ
それだけで楽しい!どんどん知りたい!

ロウは地上を楽しみ歩き回りました









ある日のことです

ロウは山を下っていました
道ばたの木になっていた甘ずっぱい木の実をバリバリかじり
トコトコ、トコトコ歩いていきます

小鳥のさえずりの聞こえる道を
木々からこもれ日さす道を
トコトコ、トコトコ歩いていました



その時です


ドカドカドカドカ!!


ロウのそばで今まで聞いたことのない、けたたましい音がひびきわたりました

ロウがちらりとその音の先へ目を向けると、金属の服を着込んだ人々が金属のかたまりを手に馬を走らせて通りすぎていきます


ロウには分かりました
あれは「鎧」彼らが持っているものは「武器」…つまり、彼らは「誰かを傷つけに行く」のだと…




ロウはとても正義感の強い女の子でした


冥界の人々が争う姿を見たことはありませんでしたが、地上の人々が争うという事はおじさんから聞いていました


ロウにはそれが許せませんでした


誰かを傷つけるなんてひどいこと!みんな仲良くするべき! と
いつもそう思っていました

そんなロウに対し、おじさんは何も言いませんでしたが
ロウには、争う人々に対し怒らないおじさんがふしぎでした




ロウは馬に乗った一行を追いかけました
山をくだり、やがて視界が開け、谷が見えてきました

そこには小さな村がありました
ロウが初めて見る、人の住む集落でした

平原とはまた違ったのどかな風景
川が村を横切り、散在する木々が景色を彩っています

ロウはワクワクしましたが、それどころではない、と馬が通った道へ駆け出しました


==
「さあ、死にたくなかったらさっさと金目のものを出しな!!」

先頭の馬を走らせていた無精ひげの男が大声を上げました
武器を構えた彼の部下たちが村を取り囲んでいきます

村人は皆おびえ、何人かの若い集がクワを持ち、震えていました

「や、やめろ〜!」

「そうか…その態度…どうやら死にたいらしいな!!」

無精ひげの男が右手を大きく掲げました
同時に部下たちが一斉に馬にムチを振るいます
ヤリの切っ先をたがえ、村人へ向かって馬が駆け出しました

「ひっ……!!!」


バキイィィン!!


突如土ぼこりが舞い上がったかと思えば、激しい金属音と共に馬が跳ね飛ばされ、男たちは宙を舞いました

「なっ…!?」


土煙の中から一人の獣人が現れました

青い体毛の、とても小さい獣人の女の子です


少女は一文字に払った腕をプラプラと振りました
==


ひどいことする人は、許さない!!


ロウは吹き飛ばされた男たちをキッとにらみました
ですが、まだ戦うのか、彼らも立ち上がり、にらみ返してきました


ロウはとても強い獣人でした


冥界で誰かと戦ったことはありませんでしたが、地上の人の強さはおじさんから聞いていたので知っていました
ロウにとって、地上の生物の強さなど、たかが知れています


ロウに向かって再び男たちが突撃してきます

ロウは息をスウゥッと吸い込みます
そして大きく吐き出しました


ブウオゥォォオ!!


ロウの吐き出した息が強風となり、うねりを上げて男たちに襲いかかります

冥界の番人に許された超次元咆哮
「ブラッディハウリング」です


風に巻き上げられ、大声で叫びながら飛ばされていく男たち
やがてその姿は山の奥へと消えていきました


茂みに落ちるようにしたから、けがはしないだろう

ロウがフフンと鼻をこすっていると、村人たちがロウを取り囲みました


「ありがとう!」「ありがとう!」「助かったよ、本当にありがとう!!」


初めて地上の人たちからかけられた言葉

それは感謝の気持ちでした


いろんな人たちの、思い思いのことば
今まで感じたことのない気持ち
誰かの役に立ったうれしさ

群衆にもまれながら、ロウは止まらないワクワクと嬉しさに胸を高鳴らせていました



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