行動の行方第二章 等価交換
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「昨晩、盗賊団の軍勢が東の谷に降りてくのを俺たちは見たんだ」
「きっとあれが本拠地なんだ、俺たちは明日、そこへ向かってみるつもりだ」
「ああ、今こそ反撃の時だ!! となり村の連中も呼んでこよう!」
〜
ロウは全速力で東の谷へと向かいました
到着した谷は、後ろに切り立った崖を構えた、まさに「要塞」という構えの建物です
ここを潰さなくては
終わりは無い・・・!!
要塞の正面にはロウが来るのを警戒してか、大勢の盗賊たちが重武装で待ち構えていました
ロウはスウゥゥと大きく息を吸い込みました
もはや、慈悲はありません
募った最後の怒りを爆音にして解き放ちました
バオォォッッッ!!
城門の前で立ちはだかる盗賊たちが勢いよく吹き飛ばされ、岸壁に叩きつけられました
無数の手足がちぎれ飛び、無数の盗賊が膝から崩れ落ち、大地にひれ伏し、のたうちまわりました
ギャドォンッッ!!!!
凄まじい衝撃波はそのまま城門に 巨大な 巨大な風穴を開けました
さあ、出てこい・・・
みんな・・・みんな殺してや・・・・・・
歩みをすすめるロウの目に飛び込んだもの
それは
小さな とても小さな子供達でした
ボロボロの衣服を身にまとい、棒きれを手にし、鋭い目つきでロウに睨みつけます
その奥にはボロボロの衣服を身にまとった女性や老人たちの姿がありました
服の下から黄金色の輝きが見えます
金の外殻の少年少女
金色の肌の老人
彼らは皆
ゴールドゴーレムでした
ロウには
分かりました
この要塞は・・・この谷は
金鉱
金で構成された肉体の維持に必要なもの
それは ほかならぬ 金
彼らは失ったのだ
食料を 肉体を
人間たちによる鉱山の制圧で 仲間の乱獲で
彼らは失った肉体を、奪い取った人の手から取り返していたのだ
怒りに耐え、悲しみに耐え
時には、報復をしながら・・・
彼らは死ねないのだ
仲間を 種を守るため
だから絶望しないで
最後まで抗い続けたのだ
ゴーレムと呼ぶにはあまりにも弱々しい子供達は、ロウを威嚇し続けました
今にも折れそうな細い腕で 脚で・・・
ロウの頭が
真っ白になりました
どうして・・・?どうすれば・・・?
私は・・・どうすればよかったの?
虚ろな瞳で天を仰ぎながらロウは自問自答しました
ドンッ!!
突如、崖側から爆音が響きました
火薬の匂いがします
ロウが目を向けると、崖を乗り越え、近隣の村の自衛団が徒党を組んで要塞に進撃していました
要塞に向かって次々に爆薬が投げ込まれます
轟音と共に爆炎が上がり、あたりに金塊が散らばりました
そんな・・・やめっ・・・!!
ロウの悲痛な叫びを後ろからくる怒号がかき消します
武装した村人たちが一斉に要塞に襲いかかったのです
ロウの咆哮で動けなくなった盗賊たちを、村人の容赦ない攻撃が襲います
要塞内は阿鼻叫喚と化し、所々で金粉が舞い上がっていました
ヌケガラが
たくさんのヌケガラが
宙を舞っていきます
ロウは膝から崩れ落ちました
涙が 止まりませんでした
私はなんてことを・・・!
こんなことって・・・・・・!
こんなつもりじゃなかったの・・・
こんな・・・
こんなっ・・・・・・!!
両手で顔を覆っても涙は一向に止まりません
目の前の現実も何も変わりはしませんでした
叫びのような呻きのような慟哭を交えて、ロウは泣き続けました
ごめんね ごめんね
自分のやったことを
心の底から後悔しました
燃え盛る要塞を前に少女は泣き喚きました
彼女の前を大勢の村人が通り過ぎていきます
やがて火の海を背に、大勢の人々の凱歌の声が湧き上がりました
〜
荒れた大地をフラリ、フラリと少女が歩きます
道なき道を傷つきながら、少女は歩きます
助けなければ
みんなを・・・幸せにしなければ・・・
悲しみに暮れながらも
少女は一つ
決意しました
〜
長年に渡り、ある地域で暴れていた盗賊団が壊滅したことにより、各地で歓喜の声が上がりました
金を糧に生きる魔獣は弾圧され、人々に多いな潤いを与えました
荒らされてた大地も長い年月と人々の努力により、元の姿へと戻っていきました
同時に、盗賊団を国営の道具として運用していた現国王の行いが明るみに出たことで、国王は失脚
この地域で民主的な政治が栄える事となりました
それに伴い各国で民主主義が広まり、国王の独裁ではなく国民の意見が政治に反映されるようになっていきました
政治のエンブレムには
長きに渡る騒動の立役者として活躍したある勇者への敬意を込めて、青い獣人のレリーフが刻まれました
これらの事実を
ロウが知ることはありませんでした
第二章 完
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