破壊の時代
第三章 偽善の女神






新西暦4500年
群雄割拠の時代

世界では争いが絶えませんでした

領土、民、宗教、金、人種、権力
ほんの僅かな引き金から戦争が起きました

数百年の時の波が起こす悲しい時代の幕開けでもありました




「今はグレイ地方とビビド地方で対立が起きてる 俺の見立てでは、ここにサウスウィンド連合軍が横槍を入れてくるだろうな」

とある酒場
情報屋を営む男がバーボンを片手に、フードをかぶった少女に向かって飄々と語りかけます

茶色のフードから青いフワフワの耳がピョコンと顔を出していました

「まぁ、グレイ共和国が引き下がるだろうから、ビビド地方の連中が制圧されるのも時間の問題かもな」


話を聞き終わると少女は軽く会釈をし、ふところからコインを出し、男に手渡しました

「まいどっ ・・・しかし、あんたも物好きな奴だなぁ このご時勢に紛争情報を聞きに来るなんて」

金貨をポケットにしまい、男はやれやれとポーズをとって見せました

「見たところ軍人や闇商人には見えないし…何度も言うようだが、こんな大国同士の潰し合いの情報なんか、一銭にもならねぇぜ?」

「俺のおせっかいかもしれないが、余計なことは考えない方が身のためだと思うがね・・・」

少女はまたペコリと一礼すると、そそくさと酒場を出て行きました

「・・・やれやれ、あれは『やる』って目だな・・・」

男はグラスに軽く口を触れ、フー・・・とため息をつきました





グレイ共和国
鉄製武器による人海戦術を得意とした軍事国家

ビビド海洋連盟
魔族による独自の魔導技術の栄えた民主国


この二国に対し迫っているのが
三大国による連合国 サウスウィンド
魔術、武器、経済
どれにも優れる巨大大国


これら三つの地域で起こる紛争が、この時代で最も長く、最も激しいものとなっていました

とはいえ、どの国が勝ち残るのかは火を見るよりも明らかでした




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