遅すぎた切り札
第五章 運命と言う枷



大陸の中心地に存在する小さな農村地
トキ村

のどかな山岳地帯に囲まれた村には風車が立ち並び、放牧された家畜がのんきに草を食んでいます


・・・ビュオオォォォォオ!!


辺りを強風が吹き付けました

今まで体感したことない風の騒がしさに、風車小屋から男が顔を出しました

「やれやれ・・・ワラを早く運ばなきゃならんなぁ・・・・・・ん?」

男は空を見上げました
天を紫色の雲の渦が覆っていたのです

「なっ・・・何なんだ、ありゃぁ!?」


渦の中心 その真下には、天に手を掲げる少女の姿がありました









無数の知を身につけながら
無数の業を繰り返しながら
ロウは未だに「平和」という答えにたどり着けずにいました

終わらない旅
終わりのない行為

答えを求めて少女は世界中を歩いていました



私の求める誰もが幸せな世界
それは本当に夢幻なの・・・?



いつしかロウはひたすら学び続けていました

旅をする時間も 人々に語る時間も割いて 『知』を見つければ無我夢中になり、調べ尽くしました



早く欲しい 平和の形
早く見てみたい 平和の形
早く皆に幸せな世界を届けたい

いつになったら答えは出るのだろう?

・・・答えが 答えが欲しい



ロウは平和を求め、得られた知識を行使し続けました


マナを極限まで凝縮する超技術

空間に存在する無尽蔵のマナを自身の肉体に転移する次元転移術

遠方まで高速移動する空間交換術


酷使というには生温い
知識の酷使

彼女にしか行使できない 彼女だけが知っている荒行

ロウは自らの肉体を犠牲にしていました




ある時
ロウは、彼女なりの「最終手段」を試みることにしました


自身の肉体の次元転移


この世界とは別の次元に存在する、もうひとつの並行世界「パラレルワールド」

冥界から地上に次元移動したように
地上から 別の地上へ

今の時間軸から打ち捨てられたもうひとつの歴史を見ることで「答え」を見つけようと決めたのです


彼女にとって、それは『反則』でした

自分で答えを作り出すのではなく、他人に答えを見せてもらう 言わば彼女なりの『カンニング法』だからです


ロウは悲しみました


これで「答え」が見つかれば
今までしてきたことは全て無駄だったことになる・・・
もっと早くやればと後悔する・・・

でも、もうこれしか方法が・・・


申し訳ない気持ちが込み上げました




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