答え合わせ
最終章 役目









ロウが目を覚ますと

そこはとても暗い世界でした


太陽の輝きも見えない
とても とても暗い世界

でも
とても懐かしい風景



「おかえり」



ロウがゆっくりと背後を振り返ると、そこには懐かしい銀毛の狼がいました



おじさん・・・



ロウは朦朧としたまま  ふらり・・・ふらりとおじさんに近づきました

おじさんのすぐそばまで近寄ると、ロウは答えました



・・・ただいま・・・



おじさんはニコッと笑い、前足でロウの頭を撫でました



ロウの視界が ゆがみました
瞳が潤んで 一粒の涙がこぼれました


涙が


涙が



・・・涙が止まりませんでした



気の遠くなる程の時間が経ったはずなのに
とても懐かしいはずなのに

その前足の温もりは

何度も

何度も・・・

どこかで・・・



「ごめんよ ロウ 怖い夢を見せてしまったね」


ロウを撫でるおじさんの前脚はボロボロでした

おじさんの全身には痛々しい傷が走り
ふわふわだった毛並みは荒々しく逆立ち
見るも無残な姿に変わり果てていました

「地上を楽しんで帰ってきて欲しかったのに ごめんよ、ロウ」



ロウには


ロウには
全て分かりました



ロウはおじさんのしっぽに抱きつき泣き喚きました
キャンキャンと大声を上げて泣きじゃくりました


ごめんなさい! ごめんなさい!
ごめんなさい! ごめんなさい!!

ごめんなさい・・・
ごめんな・・・さい・・・


涙を撒き散らすロウにおじさんは優しく声をかけました

「わかってる 全部知っているよ」

おじさんはボロボロになったしっぽで、ロウの体を優しく包みました


「お疲れ様 ゆっくりと休むといいよ」

「ここはお前の世界なのだからね」


おじさんのしっぽに包まれ ロウはいつまでも いつまでも泣きました


そして心の中で叫びました



ごめんね ごめんね



ありがとう

おじさん ありがとう


みんな ありがとう・・・






〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜






「よお、フェンリル・・・ いつ見ても綺麗なもんだな ここからの景色は」


冥界の一角
ケルベロスの男性がそばにいる銀毛の狼に話しかけました

「ここ数億年、あの子のおかげでマナの供給が安定している 無駄な魂の生成が減ったからな」

「天界からすれば、ありがたいことなんだろうな 俺たちには関係ないことだが」


狼は巨体を持ち上げ、笑みを浮かべて彼に答えます

「いいことじゃないか? 冥界が少し華やいでる気がするがね・・・?」


少し言葉を詰まらせ、恥ずかしそうに口元を抑えながらケルベロスは答えました

「・・・・・・まぁ・・・そう、だな  悪くはない・・・」

「美しいものを愛でるなんて感情・・・もう忘れちまったと思ってたがな・・・」


フフッと笑みをこぼした後、目線を戻して狼はつぶやきました

「あれが、あの子の優しさなのさ」

「・・・そう、あれが『あの子』の世界なんだろうね・・・」








ある小さな丘の上に
小さな小さな少女が
のんびりと暮らしていました

少女には簡単な「仕事」がありました

地面に転がっている灰色のタマシイ
『ヌケガラ』を処理する仕事です


昔 彼女はヌケガラを食べていました

今は もうヌケガラを食べません


彼女は拾い集めたヌケガラを丘の上に持ち帰り、自慢の尻尾でキュッキュッと綺麗に磨きました
そしてヌケガラに一言つぶやきました



諦めないで



ほんのりと明るくなったヌケガラ
彼女はそれをふわっ・・・と
空に浮かべました



空には

無数の光が放たれていました


虹と銀のコントラスト


輝きは闇の大地を照らし
辺り一帯に優しげな光をもたらしました

時たま光の塊は煌々と大きな輝きを放ち
また、ある時は虹色の輝きがまるで花火のように飛び出しました




さあ 冒険しておいで
あなただけの世界を

辛くなったら落ちてもいいよ
私が受け止めるから





薄明かりの下

今日も少女は

遠い世界を見守っています




長い 長い

とても永いロウの旅

それが今





始まりを迎えたのです





最終章 完



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