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【SW小説】友と父と精算の話※未完



レストラン・ラタスの歴史は、100年前の災害・大戦期よりさらに古い。
 かつて魔法世界に存在していたこの店は、ある魔法使い(メイジ)が自らの薬学を究めるために開業したのが始まりだった。

 『薬効と味覚の両立をもって心身ともに健やかに』
 そう志したメイジがほうぼうから広く買い集めてくるハーブやキノコなどの生薬とそれらをブレンドした独自のスパイスを用いた料理は、災害以前の旧カルヴァートの市民たちの健康を少しばかり支えてきた……らしい。

 大災害の影響で店舗が倒壊し、さらに魔法世界には豊富にあった材料の入手が難しくなったこともあり創業から代々受け継がれてきたレシピの多くがその薬効を発揮することができなくなってしまい
レストラン・ラタスの歴史は一度は途絶えた。

 終戦後、レシピを保管していた店主たち家族の必死の努力により代替品を探しだすことで味はなんとか守りながら営業を再開、
 終戦から100年たった今では深緑都市カルヴァートの隠れた名店として、都市の喧騒に疲れた人がスパイスの匂いにつられてふらりと立ち寄る、知る人ぞ知る存在になっている。

 店内にテーブル席は三つ。一番奥のテーブル席についた私達四人だけ。私を含めた皆、目には黒いマスクが括りつけられている。
 後ろを纏めた黒髪を持つ少女『会長』が重々しい表情で口にした「では、始めよう」の一言で、私達の定例会議は始まった。

「まずは経過報告からしよう。会員A、例の『Mプラン』について報告を聞きたい」
 会長がマスク越しに鋭い視線を送るのは、会員Aと呼ばれた白髪の少女。12歳の彼女は私達の中で一番の年少者だ。
 緊張しがちなところのある会員Aがえっと……と前置いたあと鞄から取り出したのは薄桃色のノートと、袋いっぱいに詰められたマシュマロ。
「今回のテストは、先月頭から毎日ひと袋100gのマシュマロを30日間食べ続けて、それによる成育ペースの変化を検証するというものです」
 会員Aはノートを開いてテーブルにひろげる。これはテスト開始から三日ごとに会員Aの身長と体重の成育過程をまとめた表のようだ。
 私と、隣の席にいるウェイトレス姿の会員Tがノートを覗きこむ。
 今でこそ怪しげなマスクをしているが彼女の服はこの店の制服でありコスプレではない。彼女はレストラン・ラタスの店主の娘なのだ。
 
 表によればテスト初日の身長は135.4cm。
 都市カルヴァートにおける12歳女子の平均身長を下回る数値だ。
 そこから最終日に目を移してみて……私は驚きに目を見開いた。なんと、135.8cmと書かれている!
 私と会長、そして私の隣の会員Tも気づいたのだろう、同時に驚愕を口にしていた。
「一ヶ月で4 ミリも伸びてる!!」
 ノートの両端をがっしと掴み何度も確認する会長。
「135.4がテスト14日目で135.6、そして30日目で135.8」と何度も何度も呟いたのち会員Aの薄桃ノートを天に掲げ、一筋の光明を見たとばかりの興奮に目を輝かせた。
「間違いない……これこそが私達の希望だ!」


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