2【SW小説】友と父と精算の話※未完
レストラン・ラタスやカルヴァートの歴史に比べれば、私ドロテア・セプティの18年などたかが知れたものだ。
魔法使いの家系である厳格な母と温厚な父の家庭で生まれ、歳の離れた兄や姉に囲まれて私は育った。
幼少の頃は小難しい話をする家族を見上げながら、いつかは彼らのような「おおきな人」になりたいと、なるものなのだと夢見ていた。
どうやらその道のりが険しくなりそうだと気づいたのは、ある程度の年月が経ったころ。
同じように大人というものに憧れ、早く彼らの仲間入りをしたいと笑って話していた友達がぐんぐんと背丈を伸ばしていったのだ。
私ひとりを置いて。
身長より大事なものはこの世にいくらでもある。
わかってはいるが、それでも幼少から抱いていた大人に対するイメージは強烈だった。
そのビジョンに届かないと思うとまるで子供の頃の私の期待を裏切っているようで、いたたまれなかった。
そのいたたまれなさがさせるのだろう、いつまで経っても諦めきれずに図書館の資料や雑誌に打開の知恵を求めたり、更にはこうして研究会に顔を出して情報収集して抗っているのだ。
私のように諦めきれない人たちの集まりが、この研究会『日輪草』だ。
活動目的はただひとつだけ。身長を伸ばす。
会長いわく会員数はそこそこいるらしいが、こうして月に一度集まる人数はごくわずか。
会合中は会員AだのTだのとコードネーム呼びを強制し、目にはまっ黒なマスクを着けさせられる。
……これらは会長の趣味だが、まだ言ってないけど正直カッコ悪いと思う!
会合が終わった瞬間会員皆がさっさと取り外すあたり、会長以外の全員そう思っているはずだ。
ちなみにさきほど話していたMプラン……正式名称マシュマロ計画は、
マシュマロの中には身体の成育に良い影響を与える成分が入っているという噂から、マシュマロを食べ続けると身長が伸びやすくなるのでは?という説を検証するため、
先月頭から毎日ひと袋(100g)のマシュマロを30日間食べ続けるというもの。
テストをしたのは最近研究会に入った会員A。
会長から会員Aへ指名付きでお願いしていた時は大変そうだったので私が代わろうと進言していたが
「食べるのは好きですので……」と引き受け、そして最後までやりきった。
そのテストに効果があったことが、今実証されたのだ!
しかも月4ミリ! いつもは月1ミリ、調子よくて2ミリくらいしか伸びていなかった私がこれに喜ばずにいられようか!
声をあげようと思ったが店内なのでぐっと我慢し、エア拍手と万歳でこの感情を表現することにした。
会長はそこそこ大声を出してしまっているが、出てしまったものは仕方ない。あとで店主の娘(会員T)に叱られてしまえ。
ふと、会員Aの方を見る。月をまたぐ大仕事にこれだけの成果があったのだ、さらには会長の喜び様まで見ていたらさぞ達成感に満ちた笑みになっているのではないかと思っていたのだが……どうやらそうでもないらしい。
目をそらして……どこかバツが悪そうな表情をしている。
「会員Aちゃん、なにかあったの?」
なにか様子がおかしいと思った私の質問に会員Aがこくり、と頷いたのを見て『どうやら喜ぶのはまだ早かったらしい』と察した会長はゆっくりソファーに座り直した。
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